白血病の小学生娘、16人も適合者がいたのに…ドナー登録者「仕事を休めない」「上司が辞退しろと」骨髄バンクが今、直面する問題とは
10年以内に登録者数が4割もいなくなる!?
適合者の仕事都合による辞退の解消に加え、現在の課題としているのが登録者数の増加と骨髄バンクの認知度の向上。現在、ドナーに登録しているのは40代、50代が多く、58%を占めていますが、ドナーは55歳で登録取り消し。この10年で全体の41%が登録者ではなくなってしまいます。 「そもそも、若年層には骨髄バンクそのものを知らない人もいます。知ってもらうことは急務。新プロジェクトとして、2023年秋より「#つなげプロジェクトオレンジ」を開始して、専用の特設サイトに加え、XやYouTubeなど若い人たちに親しみのあるSNSでの発信に力を入れるようにしています」。 Xでは、ドナー登録の方法や、若い世代のドナー登録者の声、登録会場などをこまめに発信。「全国の献血会場・献血ルームではいつでも登録を受け付けています。また、お買い物途中などに気軽に行えるよう、大型商業施設などで登録会を実施することもあります。検査キットでドナー登録できる仕組み『スワブ&オンラインドナー登録』の規定人数に達したためトライアル受付を終了しましたが、最速2026年度の本格導入を目指しています」と登録への協力を呼びかけます。
望みがあったのに…諦めなければいけないなんて
適合者が見つかったものの、相次ぐ辞退で骨髄移植による治療が危ぶまれた小学生の女の子はどうなったのでしょうか。 「もともと、母親である私がドナーとして立候補していましたが、医師からフルマッチの適合者が出た場合はそちらを優先した方が良いと言われ、適合する方を探していたんです」。 親子間では、父と母から半分ずつ受け継がれるものなのでフルマッチではない半合致になります。フルマッチの白血球型の方が移植後の拒否反応が出にくく、患者の負担が少ないため、フルマッチの適合者に望みを託していましたが、候補に浮上した適合者からの提供が望めなくなった時点で治療方針を変更。フルマッチではないものの白血球の型が適合していた母親のゆみさんが、ドナー提供者となることを決意したそうです。 1度めの骨髄移植は失敗に終わりましたが、2度めの末梢血幹細胞移植に成功。「娘と私の白血球の相性が良かったみたいで、こればっかりは移植をやってみないとわからないと先生はおっしゃっていました」。移植後の拒否反応は出ましたが、それも最小限に抑えられ、現在の経過はすこぶる良好。月に一度の外来での経過観察による通院を行って今は中学生に。大好きなダンスを続けつつ、小児がんについて知ってもらうために講演会や学会などにも参加しています。 「ドナー適合者がいても断られることは命を繋ぐことが出来なくなるということです。助かる望みがあるのに諦めなければならない。それを受け入れるのは難しいことです。でもドナーさんにも家族がいて生活もある。仕事を休むことも難しいでしょうし、家族の理解を得ることも難しいかもしれません」とゆみさんは話します。 それでも、「骨髄移植のこと、血液を入れ替えて命を繋いで生きていくことの尋常じゃない大変さを世の中の人にもっと知ってもらいたい。もしも我が子だったなら…と思いを持ってもらえたら。見ず知らずの人に骨髄を提供してくださるドナーさんは命の恩人です」。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)
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