名将も認める実力…久保建英に96億円「高くない」 番記者が移籍に太鼓判「相性はいい」【現地発コラム】
アトレティコ行きのハードルは茨の道「彼は分かっていると思う」
6000万ユーロ(約96億円)に設定されている久保の契約解除金をアトレティコが支払えるかという問いには難色を示しつつ、タベルナ記者は「現在、莫大な資金力を持つクラブが増えている。例えばニューカッスルが2年前、アレクサンデル・イサクを獲得するために7000ユーロ(約112億円)を支払ったことを思い出してほしい。今の久保はラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)の頃のイサクと同レベルにあると思うので6000万ユーロはさほど高くない。欧州の主要クラブにとっては十分払える金額だ」と、久保がさらなる飛躍を遂げる上で大きな問題にはならないことを強調した。 しかし、スペインのクラブにそれはおそらくほとんど当てはまらない。今夏の移籍市場で久保の契約解除金より高値の選手は、アトレティコが7500万ユーロ(約120億円)で獲得したフリアン・アルバレスのみ。2番目に高額の選手はFCバルセロナのダニ・オルモだが、5500万ユーロ(約88億円)だった(※両選手とも出来高払いは除く)。コロナ禍以降、スペインの移籍市場がまだ冷えた状態であることを考えると、アトレティコ行きのハードルは高いのかもしれない。 スペインのラジオ局「カデナ・コペ」でレアル・ソシエダの番記者を30年以上務めるマウリシオ・イディアケス氏も、久保のアトレティコ移籍関連の話は聞いたことがないと首を振った。一方、実際に加入した場合の見解はタベルナ記者と異なり、その先にあるのは茨の道だと考えている。 「ドリブルでの突破力に優れている今の久保なら、どのチームにもフィットすると思う。でもアトレティコにはグリーズマン、フリアン・アルバレス、アンヘル・コレアなど、素晴らしいタレントがたくさんいる。ラ・レアルでは文句なしのスタメンだが、ほかのビッグクラブではおそらくレギュラーではなくなること、出場時間が大きく減る可能性があることを彼は分かっていると思う。移籍先でラ・レアルほどの幸せを得られることはないのではないか」 アトレティコ関連報道の信憑性はともかく、久保は今季ソシエダで3年目を過ごしているため、さまざまな意見はあるものの、新たなステップを踏むためのターニングポイントを迎えているのかもしれない。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi