現在のやり口は冷酷な弁護士の受け売り? 権力者の「負の部分」ここまで描けるすごさ『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
【坂上忍の白黒つけて何が悪い】 先の米大統領選で勝利し、第47代大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏の若き日を描いた作品である。 非常に興味深く観させていただきました。 みなさんが知る現在のトランプ氏が、どのようにして創り上げられたかがよくわかる作品となっています。 20代のトランプは、父親が所有するアパートの家賃の取り立てに奔走する日々だった。 一流を夢見るトランプにとって満足のいく毎日ではなかったが、そんなある日、敏腕弁護士ロイ・キーンと出会うことに。 敏腕といえば聞こえはいいが、ロイは勝つためには手段を選ばない冷酷な男としてその名をとどろかせていた。 そしてトランプはロイの元で、アプレンティス(見習い)として数々の事業を成功させていくのである。 とまぁ、ざっくりとこのような展開で物語は進んでいくのですが…。 まさに「今」のトランプ氏を創り上げたのは、ロイ・キーンなる弁護士の影響が大きかったのだなと。 いや、やり口から言動から、ほとんどロイの受け売りといってもいいぐらいかもしれません。 それだけロイ・キーンという弁護士は強烈なキャラクターを持ち、力があったんでしょうね。 ロイが放つ印象的なせりふがありまして…。 「球技において、人は追うな。球を追えと教わるが、現実の世界は真逆だ」と。 「欲しいモノを手に入れたいなら、人を追え!」と言い切るのです。 「この国は法よりも人なんだ」と。 要は法に則って弁護士と検事がやり合っている暇があったら、相手(人)の弱みを握りなさいと。 それですべて解決するんだと。 まぁ、怖ろしいといいますか、アメリカっぽいといいますか。 ただ、結果的にはロイが次々に勝利を手中にしていく中で、トランプも駆け足で事業を成功させていくわけですから、トップに昇り詰めるって、やっぱり悪いことをしないと無理なのかな~って、ついつい思わされてしまうのです。 ですが、あるあるなんですかね。蜜月関係っていつかは崩れるんです。