独VW、リストラ策巡り3回目の労使交渉 合意なければスト突入も
[ウォルフスブルク(ドイツ) 21日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の経営陣と産業別労働組合IGメタルは21日、3回目の労使交渉を開始する。労組は会社側のリストラ策に対案を示しているが、合意がまとまらなければ12月1日にストライキに踏み切る構えを見せている。 同社の国内従業員約30万人のうち計6カ所の工場で働く12万人の賃金を巡り交渉が行われる。12万人は残る従業員とは別の労働協約が適用されている。 経営側は10%の賃金削減を要求。中国企業との競争や欧州の自動車需要低迷に直面する中、競争力を維持し市場シェアを守るためには、コスト削減で利益を底上げすることが急務だと主張している。 労組側は20日、2年間の賞与支給見送りと、生産性の低い部門で労働時間の一時的な削減を資金面で支える基金の創設を提案。これにより人員削減を行わずに15億ユーロ(約15億8000万ドル)のコスト削減が可能になるとした。 基金は従業員の賃金を5.5%引き上げた分を管理する格好となる。これらの提案はVWが工場閉鎖計画を取り下げることを条件としている。 IGメタルの交渉担当責任者、トルステン・グローガー氏は、経営陣が建設的なアプローチを取ることを期待していると述べた。 「クリスマス前に妥結できるかどうかは、相手側が今日、解決に向けて大きな一歩を踏み出すかどうかにかかっている。われわれは大きな一歩を踏み出した。今度は相手側からの大きな一歩が必要だ」と述べ、工場閉鎖の可能性を排除しない経営陣の姿勢を批判した。 経営陣が提案を拒否した場合、労組は7%の賃上げと工場閉鎖の中止を要求するとみられる。 この要求が満たされない場合、従業員は12月1日からドイツ各地の拠点でストに入る。そうなれば、5万人以上の従業員が参加した2018年のスト以来の規模となる。