「気づいたら父親は死に、母親は高齢者…」…”日本人”と”ドイツ人”のハーフである筆者が「老い」のリアルに迫る!
老いた母を遠方に残して
アラフィフとなった今の私の悩みは、地球の反対側のミュンヘンで一人暮らしをしている母のこと。父はすでに亡くなっています。私には弟がいますが、彼も日本在住なのです。 「能天気」だった私は、日本とドイツをいったりきたりする生活がずーっと続くと思っていました。でもここ数年は「いや、まてよ?やっぱりずっとこういう生活は続かないかもしれない」と嫌でも気付かされるように。団塊世代の母は「まだまだ元気」ではあるものの、昔と比べると体力も気力も落ち、疲れ気味のことも増えました。大きな病気ではないものの小さな不調も目立ち、病院に行くことも多くなりました。 私自身も中年になり、自分のこれからを考えることが増えました。そこに母の問題も浮上し、夫の両親を見送り、いよいよ「老い」と真剣に向き合わざるを得なくなった……そこで「ドイツ人の老い」をテーマに本を書くことにしたのです。 「自分の話だけではつまらない。できるだけ多くのドイツ人に、リアルな話を聞こう!」そんな意気込みで企画はスタートしたものの、「こういうシビアなテーマについて個人的なことを話してくれるドイツ人が果たして見つかるのかどうか……?」と心配していました。 でも実際には「老いる」というテーマに興味を持ってくれる人も多く、知人が知り合いを紹介してくれたり、その知り合いがまた別の人を紹介してくれたりと、皆さんが快く協力してくださいました。東京で、ミュンヘンで、さまざまなお話を聞きながら、「ドイツ人の老い支度」をインタビューしつつ、いろいろなヒントを探っていきます。 『アマゾン配達員がまさかの“大号泣”…「他人をねぎらう伝統」が垣間見えるドイツの“心温まるクリスマス”をご紹介』へ続く
サンドラ・ヘフェリン(エッセイスト)