「気づいたら父親は死に、母親は高齢者…」…”日本人”と”ドイツ人”のハーフである筆者が「老い」のリアルに迫る!
おしゃれに老いる、素敵に老いる、小さくて快適な暮らしのためのスッキリする断捨離。ところでお金は?親の介護は?お墓はどうしよう? 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル 日本でしばしば話題になる「老い支度」を、ドイツ人はどうしているのか?合理的で、節約を重んじるドイツ人の「老い」との向き合い方について、日本とドイツにルーツを持つサンドラ・ヘフェリンが、インタビューをもとに綴る実用エッセイが、来春、講談社より刊行される。『ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる』の制作過程を紹介しながら、取材こぼれ話をお届けする。 『ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる』連載第1回
高齢化社会の日本とドイツ
日本もドイツも高齢化社会は同じです。WHOの2023年の調査によれば、日本の平均寿命は84.3歳でダントツ1位。ドイツは20位と引き離されていますが、81.7歳ですから、実はそれほど変わらないのです。 日本人の母親とドイツ人の父親のもとに生まれ、南ドイツ・バイエルン州のミュンヘンで育った私は、23歳の時に日本に来ました。年齢がバレますが、数年前に「日本に来てからの年月」が「ドイツで過ごした年月」を上回りました。 「大人になったら日本に住む」ことが夢だった私は、実際に大人になってから、一人で日本にやってきた――これがいってみれば「日本に来た理由」です。 来日当初は祖母の家に滞在し、やがて仕事と一人暮らしの部屋を見つけ、本の執筆を始めました。幸い、初めて書いた『浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ』はベストセラーに。友人にも恵まれ、日本という新天地でがんばりながら、時には自分が育ったドイツに帰り、家族と一緒の時間を過ごし、充電してからまた日本に帰る。そんな生活スタイルが出来上がっていました。 周りの人からは「日本とドイツを行ったり来たりできていいなあ」「外国に実家があっていいね」「サンドラはいつも楽しそう」とよくうらやましがられたものです。実際に私自身も楽しかったのですが……中年になった今、日本での生活を振り返ってみると……「私は本当に自分のことしか考えていなかったんだな」と感じます。