タヒチ島で四駆に立ち乗りして「鼻吹きオヤジ」の謎を解く【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
内陸部への冒険ツアー!でもメンバーはまさかの…。笑
そのタヒチ島で最初に紹介するアクティビティー。それは四輪駆動車に乗って、島の内陸部にあるパペノオ谷(Papenoo Valley)を探検するというものです。場所は地図の大きな円のほうの右上あたりです。 このツアーのガイドを務めてくれた「鼻吹きオヤジ」ことティーバさんによると、タヒチ島には約70の谷があるとのこと。はい、谷があれば山もあります。最高峰は標高2241メートルのオロヘナ山! たいした標高ではないと思われるかもしれませんが、タヒチ島の大きいほうを一周する道路が約120キロメートル。その小さな島に2241メートルの峰がそびえるのだからなかなかです。 てなわけでタヒチ島の中心街で、フランス領ポリネシアの首都でもあるパペーテの街を出発します。 ドッピーカンとは言えませんが、それなりに青空も見えます。ただし懸念材料もないわけではありません。それはそのツアーには2台の四輪駆動車で分乗して合計12人の客が参加したのですが、私以外すべてフランス人であること。笑 【オーストリア・ザルツブルク旅vol.4】で書いた「絶叫トロッコ」に乗れるハラインの岩塩抗博物館で、ドイツ語話者のオーストリア人の中にポツンと放りこまれたのに続く完全アウェイ状態です。 けどあのときは59人対1人の圧倒的な差だったけど、今回はわずか11人対1人。…はい、「五十歩百歩」ですね。反乱を起こしても瞬時に制圧されるでしょう。…起こしませんが。 さて谷と同名の「パペノオ」という町から内陸部に入ったころから、なにやら急に雲行きが怪しくなってきました。いや、安心してください。別に「ツアーの車内の」という話ではなく、文字通り「空の」です。 さのてパペノオの谷に入る前に、車を降りて説明を受けます。 そしてここでティーバは私に向かってこう言ってきました。「ここからは未舗装道路をノロノロ運転するので後部座席の幌を外します。座席に立って景色を眺めてもいいですよ」。 うわっ、楽しそうとは思いました。 でも。普段はまずフランス語でみんなに説明したあとに、私に向かって英語でフォローしてくれるティーバですが、このときはなぜか私への英語が最初。 「一人立ち上がるのも恥ずかしいなあ。なんたって11対1だし」と気兼ねしていたのですが、フランス語の説明を聞き終えたみんなは競うように靴を脱ぎはじめました。 旅に出るとみんな童心に帰るものです。 悪路で車がグラングランと揺れ、絶叫マシーン並みの迫力。6人乗車のうち2組はハネムーナーで、残り一人で隣に立っていたオバサマがキャーキャー言いながら「おまえ、わざとオレにカラダぶつけてるだろう」状態だったのですが、そこはもう小国の悲哀で「スマイル外交」を続けましたよ。 まあ、最初はそんな感じでみんな童心に帰って大はしゃぎだったのですが…なんと途中から「本降りの雨」に。再び幌がかけられました。