開業から10周年 みなとみらい線がもたらしたもの
■みなとみらい線開通でもたらされたもの 横浜高速鉄道が広く民間企業にも協力を求めたこともあり、みなとみらい21地区には多くの企業が誘致されました。「みなとみらい21地区の企業といえば、何と言っても日産自動車です。それ以外にも、多くの企業が集まり、就業人口は8万人、進出企業は1400社を超えています」(横浜市都市整備局)。みなとみらい21は雇用を生み、観光振興にも寄与していますが、何より大きいのは約157億円の市税収入を生み出したことです。 大きな経済効果をもたらした一方で、課題も残されています。そのひとつが、東横線の跡地利用です。みなとみらい線が開業すると、東横線の東白楽駅-横浜駅間は地下化され、JR根岸線と並走し、みなとみらい線利用者との重複がある横浜駅~桜木町駅間は廃線になりました。地下化された東白楽駅-横浜駅間の線路跡地は遊歩道として再整備されていますが、横浜駅~桜木町駅間の高架線は、現在、放置されたままになっています。高架線が廃線になるのは稀なケースなので、横浜市は自転車も通れる遊歩道や駐輪場の整備などが検討されていますが、具体的な進捗には至っていません。昨年にようやく桜木町駅の旧駅舎が解体され今夏、JR桜木町の駅ビルとして新しく生まれ変わりますが、高架線の整備にはまだまだ時間がかかりそうです。 ■廃線にともない地元の繁華街の低迷 また、東横線桜木町駅の廃止で、かつて賑わった繁華街、野毛地区にも大きく影響が出ている、と言われています。みなとみらい線の開通で最寄り駅だった桜木町駅(JRと東急)の利用者が激減。2003年にはJRと東急東横線の1日の利用者は11万人を超えていましたが、現在はJRだけで6万人強。約500店ある飲食店は、東横線桜木町駅を通勤で利用するサラリーマンらの利用で賑わっていましたが、廃線以降は低迷。さまざまなイベントなどを行い、集客活動を行っていますが、かつての輝きは取り戻せていません。