開業から10周年 みなとみらい線がもたらしたもの
今年2月1日、横浜高速鉄道が運行するみなとみらい21線(みなとみらい線)が開業10周年を迎えます。主要駅の1つ、みなとみらい駅では、開業10周年を記念した撮影会や鉄道ジオラマの運転体験、展示ブースなど、記念イベントの開催されます。東急東横線横浜駅~桜木町駅を廃線とし、開業したみなとみらい線。あれから10年、街をどう変え、そして沿線に何をもたらしたのでしょうか? 横浜スタジアムがメジャー球場仕様に? 大改修構想とは?
■1日平均17万人が利用する鉄道 みなとみらい線は、総延長4.1キロ。横浜駅と元町中華街駅を全6駅で結ぶ短い路線です。開業時から、渋谷駅と横浜駅を結ぶ東京急行電鉄(東急)東横線と相互乗り入れし、みなとみらい線は渋谷駅と直結しました。高い利便性もあって、現在は一日平均17万人が利用しています。数字だけを見ると、みなとみらい線は優等生といえます。しかし、全線が地下区間なので、着工から開業まで14年の歳月、工費は約2400億円を要しました。また、その償還が重くのしかかっており、利用状況だけで”優等生”とは言い切れない事情もあります。 ■市営による運営を検討しなかった横浜市 「みなとみらい21地区の計画は、高度経済成長期に横浜6大事業として提案されました。昭和58年から本格的に着工されています」(横浜市都市整備局)。横浜の新都心となる『みなとみらい21』は、市にとって宿願ともいえるプロジェクトです。大規模事業のため、現在に至っても、プロジェクトの進捗率は約84%(平成25年11月末)となっています。そのエリアにおいて、鉄道の建設計画は、みなとみらい21地区が着工する2年前(昭和56年)に盛り込まれました。 横浜市は、昭和47年に市営地下鉄を開業させています。つまり、当時の横浜市には、鉄道を運行するノウハウがありました。しかし、鉄道の建設計画が浮上したとき、横浜市は市営の鉄道を考えませんでした。『鉄道建設と同時に沿線開発を行うこと』、『民間活力を導入すること』が背景にあったからです。そうした経緯もあって、民間企業が出資する第3セクターの横浜高速鉄道が設立されています。ただし、横浜市は横浜高速鉄道の筆頭株主として経営にはタッチしています。