4.9埼玉“世紀の一戦”を前に村田諒太が“ゴロフキン仕様”に変貌…「1ラウンド勝負」と1対4の不利賭け率を覆す戦略明かす
いかにして「GGG」のバリアを突破してインサイドに入るか。 ーー入り方の引き出しは幾通りも用意しているのか? 村田に、こう聞くと「引き出しなんかたいしてない」と笑い戦略の一部を明かした。 「1ラウンド目が勝負だと思っていますね。そこで相手がプレッシャーを感じるようだったら展開としてやりにくくはない。プレッシャーを感じさせれずに、“(おまえのプレスなんて)関係ないよ”と好きなようにやられちゃったら展開としてはきつい。1ラウンド目の流れが一番大事。思ったよりプレッシャーかけられるとなったら、すごいチャンスがある。逆に、簡単にいなされる、ジャブでまったく入れないとなるときつい。入りが一番大事なポイントだと思う」 1ラウンド勝負は村田の十八番だと言ってもいい。2019年7月12日、エディオンアリーナ大阪で行われたWBA世界ミドル級王者ロブ・ブラント(米国)とのリマッチでは、1ラウンドから猛ラッシュを仕掛けてロープに追い詰め、2ラウンドにTKO勝利。王座に返り咲いている。 数多くのビッグマッチを見てきた本田明彦会長も、こう期待を寄せる。 「遠い距離からの相打ち、ジャブの差し合いだと負ける。だが、ゴロフキンは、インファイトが得意じゃない。今回村田はインファイト技術をかなり磨いた。いかにプレッシャーをかけて、相手の距離のひとつ中へ入り、自分の距離でボクシングができるか。どう入るかがテーマ。そこの距離に入るには、気持ちと(対応する)頭がカギを握るだろう。村田の長所はプレスをかけることのできる丈夫な肉体とパワー。村田のプレッシャーでゴロフキンが下がるのか。ゴロフキンのパンチに村田が耐えられるのか。やってみなければわからないことも多いが、面白い試合になりますよ」 ゴロフキンは2018年9月15日にラスベガスで行われたサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)との“世紀の再戦”で0-2の判定負けを喫しているが、アルバレスに序盤から足を止めた打ち合いを挑まれ、そのプレッシャーに押されて、初めて下がる弱さを見せた。この試合は、WOWOWの放送に村田がゲスト出演していたが、「普通なら立っていられないパンチ」と評したほどのフックとアッパーを2ラウンドに被弾。特にアルバレスの左のボディが効果的だった。ゴロフキンはステップインできなくなり、前進を止めないアルバレスに苦戦して息があがっていた。 ブックメーカーの大手「ウインダムヒル」の掛け率は、ゴロフキンが1.20倍で村田が4.50倍。約1対4の賭け率でプロの予想では村田が不利ではある。 だが、ゴロフキンもアルバレスとの第2戦目から4年の歳月が経過して、試合の前日には40歳の誕生日を迎える。村田が“カネロ級”のプレッシャーをかけることができれば、そこにチャンスは生まれるだろう。