「年のせい」とあきらめないで、まずは始めよう! トレーナーが教える「いくつになってもケガをしない体」に変えるストレッチ・筋トレ法
■ケガ予防のための筋トレのコツ 筋力トレで最も重要なのは、「筋肉に負荷をかけても関節に負担をかけない」ことです。 筋力は筋肉に負荷をかけることで向上しますし、ケガをしても回復は比較的早い組織です。 対して、関節は基本的に消耗品で、負荷をかけるほど軟骨などの消耗が進みます。そのうえ一度損傷すると回復に相当な時間を要し、完全に元の状態に戻らない場合も多い組織です。 両者の最大の違いは血流量にあります。筋肉には毛細血管が多く、常に酸素や栄養を運んで二酸化炭素や疲労物質を除去してくれますが、関節にはその血流が非常に乏しいのです。
関節に負担をかけないためには、第一にフォームへの配慮が必要です。関節に違和感があったり、痛みを感じたりするフォームで行うのはNGです。 例えば、一般的に腕立て伏せでは指先を前に向ける方法が紹介されていますが、この方法だと手首の関節がストッパーとなって安定する反面、手首を反らす強いストレスがかかり、ケガのもとになります。 これを防ぐには、指先を斜め外側に向けて、滑り止めのために指先を広げて行うのがよく、これが正しい腕立て伏せなのです。
腕立て伏せの負荷を軽くするため、膝を床に着いて行うこともありますが、その場合は膝の関節にある膝蓋骨(膝のお皿)や、半月板、関節の軟骨に負荷がかからないよう、膝を着く場所には必ずクッションやタオルなどの柔らかいものを置きましょう。 ■一般の人たちに勧められる筋トレ法 基本的に、筋力トレーニングには鍛えたい筋肉のまわりの筋肉を動員し、反動、反射、反作用などを用いて、強引に重いものを持ち上げる「チーティング法」と、鍛えたい部位の筋肉だけを使って、適度な重りを持ち上げる「ストリクト法」があります。
チーティング法は速さや高さ、強さを競うスポーツには有効な筋トレですが、筋肉にも関節にも負担がかかりやすいのでお勧めできません。一般の人たちが行うケガ予防のための筋トレであれば、ストリクト法で実施すべきです。 負荷の大きさは、2~3回分の余力を残して6~10回行います。余力がなくなるまでやってしまうと、過度な局所疲労が残るとともに、フォームが崩れやすく、ケガのリスクも高くなります。 何より、2~3回の余力を残しても、ギリギリまで行っても、効果に大差はありません。