「年のせい」とあきらめないで、まずは始めよう! トレーナーが教える「いくつになってもケガをしない体」に変えるストレッチ・筋トレ法
■ケガ予防のためのストレッチのコツ まずストレッチですが、疲労やストレスを和らげる働きがある運動なので、毎日何度も行ってもかまいません。 ただし、ストレッチの際に過度に伸ばすと筋肉や関節のケガを招くことがあります。このリスクを下げるために最も大事なことは、「痛みを感じない範囲で筋肉を伸ばすこと」です。 スポーツ選手やダンサーは、競技や振付に合わせるために、本来の可動域を越えて関節の可動性を高めるので、多少痛みを感じるところまで筋肉を伸ばします。
しかし、このやり方をするとかえって関節まわりの靭帯や関節包などを痛めて、関節の可動性を低下させてしまうおそれがあります。ケガを防ぐことが目的のストレッチの場合は、痛みを感じずに「気持ちいい」と思うところまでにとどめておくことが肝心です。 お店のストレッチなども同様です。 よほど優れた施術者でない限り、適度なストレッチ度合いを把握するのは難しいものです。良心的なところは「痛くないですか?」と声をかけて、「施術を受けている人の感覚」を優先してくれますが、「施術者の感覚」で無理に伸ばしてしまう場合もあり、実際に事故も起きています。
痛みを感じたら、遠慮なく施術者に伝えたほうがいいでしょう。 もう1つ、一般的にストレッチというと“床に座って行う運動”というイメージがありますが、実はこれは誤解です。 多くの人は柔軟性があまりないので、床に座ってストレッチをすると、背中が丸まりやすくなります。その結果、体の背面は伸ばせるけれど、前面の筋肉は伸ばしにくくなります。 それだけでなく、床に座って行うと、背骨の椎間板などにかかる負荷が大きくなるというデメリットもあります。
背骨が正しいS字カーブを描いているときは椎間板にかかるストレスは最小限になりますが、背中が丸まるほど、椎間板の前側に圧縮ストレスがかかります。それが強く、長く加わった場合、背骨にある髄核(ずいかく)という柔らかい組織がうしろに飛び出して、神経を圧迫してしまうこともあるのです(椎間板ヘルニア)。 これは柔軟性が低い(=体が硬い)人ほど顕著です。 ですので、ストレッチはできるだけいすに座った状態で行うことをお勧めします。