競馬の損失をオンラインカジノで埋める……ギャンブル依存症男性が陥った“負のスパイラル”とは
手軽さに隠れた「破滅」
確率論的にも、ギャンブルにおいて「ビギナーズラック」は、起こりうる。オンラインカジノに熱中し始めたセイタは、しばらく絶好調の波に乗っていた。勝つか負けるかは五分と五分。それでも、セイタが見つけた「新たなギャンブル」は順調だった。退屈さを覚え始めていた会社生活に、刺激的なスパイスが加わったが、そんなことは二の次だった。金さえ儲かればいい。 やっぱり、ギャンブルは最高だ。 オンラインのギャンブルは参加が手軽な分、表裏一体で破滅もすぐそこにある。そもそも、セイタは競馬で開けた「穴」を消費者金融からの借金で埋め、さらにカジノへの参加資金も、会社の給料と追加の借金で捻出していた。いわば、マイナスからのスタート。「危うい報酬」をつかみ取ろうと、自分のいる「危うい状況」から目を背けていた。 (第6回に続く)
染谷一