競馬の損失をオンラインカジノで埋める……ギャンブル依存症男性が陥った“負のスパイラル”とは
オンラインカジノは「シロ?」
そもそも、オンラインカジノとは何か。 インターネットを利用し、パソコンやスマホ、タブレットなどの画面上でバカラやブラックジャック、ルーレットなどができるギャンブルであることは想像がつく。賭ける金額の多寡にかかわらず、ソーシャルゲームさながらに参加できる気軽さから、世界中で人気が高まってきた。海外発といっても日本人向けサイトなら、日本語で運営されているので、言葉の心配もない。 オンラインカジノには、パソコンなど端末を設置して客に遊ばせる「店舗型」とネット上のみで運営されている「無店舗型」がある。 日本国内の場合、店舗型は言うまでもなく違法だ。店内で客に違法賭博をさせれば、店側は「賭博場開帳図利(とり)罪」に該当し、「3月以上5年以下の懲役」、客側には「50万円以下の罰金または科料」、さらに常習化が認められれば「常習賭博罪」として「3年以下の懲役」という重い処罰が下る可能性がある。現実に闇カジノ、闇スロットなどの違法店と同様に、国内の店舗型ネットカジノが摘発された例はいくつもある。 厄介な存在は「無店舗型」だ。ネット上で展開しているカジノの主催者は、ギャンブルが認められている国で合法的なライセンスを得ている海外業者がほとんどだ。つまり、あちらは正当なビジネスを堂々と展開していることになる。運営用のサーバーも外国にあるため、日本国内の法律が及ばず、賭博場開帳図利罪の適用外になる。 だったら、そこで遊ぶ客はどうか。かつて、パソコンやスマホを使って、オンラインカジノでギャンブルをすることが単純賭博罪に問われないかが議論となったことがある。国が認めていない無許可賭博に興じるわけだから、答えは「クロ」と思いがちだが、驚くことに現状では罪に問われていない。いったんネットカジノで摘発を受けた人が不起訴になった例もある。 もちろん、無認可のギャンブルなのだから、理屈上「シロ」のはずはない。だが、明らかに罪が重い「賭博主催者」がおとがめなしで、利用客側だけが摘発されるのでは、いかにもバランスは悪い。本来の日本の法律上、「賭博行為」として「クロ」のはずが、現状では「罪に問われない」という、釈然としない状況が続いている。 オンラインカジノについては国会でも取り上げられた。2020年当時、衆議院議員の丸山穂高氏が「オンラインカジノの定義」などについて質問し、安倍晋三首相は「確立した定義はない」と、なにやらはっきりしない答弁を返した。一刻も早く、法的な整備が必要なはずだが、現時点では行政も司法も、扱いに手を焼いている様子が明白だった。