奥歯失うと認知症リスク増 奥歯を守るみがき方 3つのコツ
奥歯を失うと認知症の発症リスクが高まるという研究結果が発表されました。奥歯を失うとなぜ、認知症のリスクが増加するのでしょうか。 【図解】歯周病の進行によって引き起こされる疾患
■新事実 奥歯のかみ合わせと認知症リスクの関連性
九州大学大学院の研究グループが、奥歯のかみ合わせの状態とアルツハイマー型認知症の関連性について調査しました。 この調査では、奥歯を上下2本ずつ4本を1つのグループとして4カ所に分けて分類し、上下とも歯の欠損がないなど4カ所全てでかみ合わせがある状態と比較しました。 その結果、歯の欠損などで一部かみ合わせがない場合、認知症リスクが1.34倍高くなりました。 さらに、前歯も含めてかみ合わせが全くない場合や、総入れ歯の人の場合は、認知症リスクが1.54倍高くなりました。 なぜ、奥歯がないと認知症リスクが高くなるのでしょうか。 九州大学大学院の鮎川保則教授によると、奥歯がない人は、あまり噛まなくても良いうどんやお粥など、炭水化物メインの食事に偏りがちになります。 そうすると、筋肉を作るたんぱく質が不足して、筋肉が落ちて、足腰が弱くなってしまいます。 結果、外出をしなくなり、刺激や人との会話などが減り、認知症の進行リスクが高まるということです。 奥歯がないと、他の病気リスクも高まります。奥歯で食べ物を細かくできず、食べ物を詰まらせてしまうことで、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。 総入れ歯でも、認知症リスクが高くなります。 鮎川教授は診療の際、総入れ歯の患者さんから、「何でもよく噛めます」と言われることが多いそうです。 話を聞いてみると、肉類や硬い野菜などを避けた食事を摂っていて、栄養が偏っている患者さんが多いということです。 結果、奥歯がない人と同じように、たんぱく質が不足し、足腰が弱くなり、外出などが減り、認知症の進行リスクが高まります。 鮎川教授です。 「奥歯は、他にも発音や瞬発力、記憶力にも関わる、人間にとって重要な歯。若いうちから歯を失わないよう心がけることが何よりも大事」ということです。