何を変えようとしている?自民憲法草案(12)司法・改正・最高法規
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと、考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第12回は草案第6章「司法」、同10章「改正」、同11章「最高法規」をみていきます。
憲法改正の条件の変更
現行6章79条「最高裁判所の裁判官」について、現行は、任命後初の衆議院選の際、「国民審査」に付すとし、その後は、前の審査から10年を経過した後の同選挙の際に実施するように書かれています。草案は「任命後、法律の定めるところにより、国民審査」と変えています。「下級裁判所の裁判官」の任期は、現行80条「10年」を草案は「法律の定める任期に限って任命」としています。最高裁判所・下級裁判所の裁判官の報酬は、現行は在任中、「減額できない」となっています。草案は「分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き」が「減額できない」の前に付け加えられています。 現行9章の「改正」は、憲法改正は「各議院の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議」と記しています。草案10章の「改正」では「衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決」に変わっています。改正の承認は、現行は「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要」と書いています。草案では「法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要」となっています。 現行10章「最高法規」の97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」を、草案は削除。草案11章の「最高法規」102条で「憲法尊重養護義務」として、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」の条文を新しく設けています。 おわり