働くシニア「年金ストップ問題」がついに見直し。今こそ知っておきたい在職老齢年金って何?
内閣府は7月17日に、高齢化社会対策を検討する「有識者検討会」にて、「在職老齢年金の見直しの必要性」について提言しました。 ◆【フローチャートでわかりやすい】在職老齢年金(年金が支給停止になる制度)の図解 現行の公的年金制度には「在職老齢年金」という制度があり、これは年金が受給開始している65歳以降も働く場合に、労働収入が多いと年金がカットされてしまうものです。 人生100年時代と言われている現代では、65歳以降も働くシニア世代が増加傾向にあります。 実際に総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によると、高齢者の就業率は65~69歳で50.8%、70~74歳で33.5%となっており、それぞれ過去最高の値となっています。 老後2000万円問題が昨今話題となる現代において、「働きながら年金を受け取る」という選択肢は一般的になりつつありますが、現状は働きすぎるとかえって損をしてしまう可能性があるのです。 そんな中今回、政府の中で在職老齢年金の見直しが検討されていますが、具体的に在職老齢年金とはどのようなものなのでしょうか。 本記事では、在職老齢年金の仕組みや、見直しが検討されている背景について解説していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそも在職老齢年金とは?
まずは、今回見直しが検討されている「在職老齢年金」とはどのような制度なのか確認していきましょう。 冒頭でもお伝えしたように「在職老齢年金」とは、厚生年金に加入している人が、老後に年金を受け取りながら働く場合、年金の一部または全額が支給停止になる制度を指します。 支給停止のボーダーラインとなる基準額を「支給停止調整額」といい、労働収入と年収の合計額が基準額を超えた場合は、年金額がカットされるのです。 カットされる年金額の具体的な計算方法は下記のとおりです。 在職老齢年金による調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2 「基本月額」とは、加給年金額を除いた厚生年金の月額を指し、「総報酬月額相当額」は、直近1年の標準賞与額の12分の1の額を指します。 現行の制度では「基本月額」と「総報酬月額相当額」が高くなればなるほど、年金がカットされていく仕組みになっていますが、具体的にどのくらい働いたら、いくら年金額がカットされるのでしょうか。 次章にて詳しく確認していきましょう。