働くシニア「年金ストップ問題」がついに見直し。今こそ知っておきたい在職老齢年金って何?
2024年度から支給停止調整額が「50万円」に引き上げに
2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」となっており、年金と労働収入の年間合計が50万円を超えた場合、年金が一部または全額カットされます。 なお、2023年度の支給停止調整額は48万円でした。 そのため、昨年と比較して年金支給停止までの猶予額が2万円増加したことになります。 上記をふまえ、在職老齢年金により年金額がカットされるかどうかのフローチャートは下記のとおりです。 ●在職老齢年金のフローチャート たとえば、基本月額が15万円で総報酬月額相当額が30万円、合計額45万円の場合、合計額が50万円以下のため、年金は全額支給となります。 しかし、基本月額が15万円で総報酬月額相当額が36万円、合計額51万円の場合、合計額が50万円を超えるため、年金額が一部減額されることになります。 仮に、年金額15万円を受給できる場合でも、総報酬月額相当額が66万円以上だと年金額が全額カットになってしまいます。 「老後のために働いたのに年金額が全てカットされるなんて損」と思った方も少なくないはずです。 働くシニアが増え続ける現代において、在職老齢年金が就労意欲を阻害する要因となっていることから、今回見直しの検討がされ始めています。
「在職老齢年金の見直し」が検討されている背景
政府は7月17日、65歳以降の就労収入に応じて厚生年金の受給額が減額される「在職老齢年金」制度の見直しを検討する方針を示しました。 この見直しの背景には、現行の在職老齢年金制度が、働くシニア間で年金減額を避けるための「働き控え」を引き起こしていることが要因の一つとして挙げられます。 また、少子化の進行に伴い、多くの業界で人材不足が深刻化しています。 そのため、在職老齢年金の減額基準を緩和することで、高齢者の就労を促進し、労働力確保を図る狙いもあるのでしょう。 とはいえ、在職老齢年金の見直しを行うことで、シニア世代の所得格差の拡大や、若年層との公平性の問題などが課題になってくるとうかがえます。 上記をふまえ政府がどのようにバランスの取れた解決策を打ち出すのか、注目が集まっています。