「どうせ無理だなと思っていた」45歳で大学生になった相川七瀬、それでも学び直しを決めた理由
“行けなくても学べる仕組み”が学びたい人の受け皿になる
――家庭と仕事と学問を並行するために、どのように時間管理をされているのでしょうか。 相川七瀬: 働きながら大学や大学院に行くとなると、夜間に通うことが多いと思います。実際に面接で「なぜ夜間じゃないのか」と聞かれました。でも私は、歌手の仕事以前に母親という仕事があり、母親業をおろそかにして学ぶことは考えられませんでした。子どもたちが学校に行っている時間であれば、私が家に居なくても問題はないので、昼間に大学に通うことを決めたんです。1、2年生の間は授業も多く、相当大変なことはわかっていたので、2年間は仕事を減らしてでも大学に通い、学業を優先すると事務所とも話をしました。 実際には1、2年生の間はコロナの影響でオンラインやオンデマンドが主流となり、時間に融通が利きました。本当だったら時間的に受けることが難しかった授業も受けられて、私にとってはラッキーでしたね。 ――オンラインで学べる機会が増えたことで、教育のあり方や学び方も変わるかもしれませんね。 相川七瀬: コロナ禍は、大学側も今まで見えてこなかった人たちが見えるようになってきた2年間だったと思います。親としては、同級生の子どもたちが地方から出てきて、何もわからない街のワンルームで1人でオンデマンド授業を受けている姿を想像すると、どうにかならないかと思うこともありました。 その一方で、人間関係などで対面の授業に行くことが難しかった人がオンラインで授業を受けることができるようになり、単位を取得して卒業ができたという話も聞きました。他にも体調が優れない人や、子育てをしながら学んでいる人など、さまざまな状況の人がいます。 “行けないから学べない”ではなく、“行けなくても学べる”という仕組みが大学にあれば、本当は学びたいと思っている人たちの受け皿になるのではないかと強く思いますし、せめて学問は平等であって欲しいと思いますね。