大幅節税も可能? 専門家に聞く、タイとシンガポールの移住事情 ~前編:どんな人に向いているのか~
日本と距離が近く、時差の少ない移住先として注目が集まっているのが、シンガポールとタイ。富裕層・高所得層の移住の多くは節税目的だというが、シンガポール・タイ移住のメリットやハードルは? 東南アジアの移住事情に詳しい、シンガポール在住公認会計士・税理士の相川聡志氏に聞いた。 前編となる本記事では、それぞれの国にどんな人が移住者として向いているのかを解説。子どものいる家庭が移住する場合と、リタイア後の老後生活を送る場合には、選択肢が異なるそうだが、その理由とは?
■■シンガポールとタイ、移住するならどっち? ――シンガポールとタイではどちらが移住におすすめでしょうか? 目的や移住者の年代によって変わってきます。 未就学児のお子さんがいらっしゃる場合は、シンガポールがおすすめですね。タイよりもシンガポールのほうが圧倒的に治安が良いですし、ベビーカーを押して歩ける道路が整備されていたり、日本人医師が多かったりと、安心して子育てができる環境が整っています。 小さなお子さんがいない場合は、その人の趣味嗜好次第ですが、個人的にはタイにより魅力を感じます。 シンガポールは国土が小さいので飽きてしまいがちですが、タイは海あり山ありですし、山岳部は肌寒い地域もあるなど、シンガポールでは感じられない季節感があります。タイはゴルフ場の数も多いので、ゴルフ好きな方にもいいでしょう。 また、日本への飛行時間もタイのほうが短いですし、LCC(格安航空会社)も含めてフライトの本数が多いので、日本との行き来がしやすいです。 シンガポールに比べ、タイは在住日本人の数も圧倒的に多いため、日本の食品などが安く手に入りやすい点もメリットです。仏教の国であるという点においても、日本人と親和性が高いのではないでしょうか。 ただ、タイは雨季に道路が冠水することがあるので、衛生面を重視するならシンガポールのほうが合っていると思います。 ――シンガポールとタイでは、どちらが移住のハードルが高いのでしょうか? シンガポールは現地法人を設立しないと移住ができないため、その意味でシンガポールのほうがややハードルが高いです。 タイは「タイランドプリビレッジ」と呼ばれる会員権を購入するだけで最長15年(インビテーションを受けて最上位のリザーブ会員権を取得した場合は最長20年)の滞在が可能になるので、事実上、お金さえ出せばビザが手に入ります。 とはいえ、シンガポールでの会社設立自体は簡単なので、シンガポール移住もそれほどハードルが高いわけではありません。 ■■シンガポール・タイ移住で大幅節税に