日本バス協会、修学旅行の時期分散化を国に要望、バスのあり方「10年ビジョン」も取りまとめ
日本バス協会は2024年6月14日、第97回定時総会を開催した。会長の清水一郎氏(伊予鉄グループ社長)は冒頭挨拶で、バス業界の課題と取り組み状況などを話した。 深刻な人手不足に関しては、その影響の1つとして路線バスの減便廃止に加え、「貸切バスでは、修学旅行への対応ができないくらいの運転者不足になっている。修学旅行の時期が集中している問題もある」と言及。国として修学旅行の実施時期の分散化の対応を図ってもらえるよう、6月13日に開かれた自民党バス議員連盟総会で、同議連幹事長である盛山正仁文部科学大臣に要望したことを話した。 また、運転者確保のため、賃上げに向けた継続的な運賃改正の要請や、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策にも取り組む考えを表明。外国人運転者の雇用に関しては、2024年3月29日に特定技能1号の対象分野に自動車運送業が追加されたことに言及し、「よい事例を世の中に示し、安心していただけるよう、準備している」と話した。 このほか人手不足対策では、自動運転の本格運行について「やはり国家プロジェクト」とし、国に対して旗振りから一歩踏み込んだ支援を要望した。さらに、EVバスの導入、キャッシュレス化についても「投資が必要。特に地方ではなかなか進まない現実がある。国の支援をしっかりお願いしていきたい」と話した。
バスのあり方「10年ビジョン」中間とりまとめ発表
総会では、2023年度の事業報告、理事の選任、恒例の政策要望決議と安全輸送決議が承認され、2024年度の事業計画と収支予算が報告された。政策要望決議では、特にバス運転者の確保対策としての各種支援措置を盛り込んだ。予算においても、運転者確保対策事業を拡充した。 また、これからのバスのあり方「10年ビジョン」の中間とりまとめを発表。バス事業を取り巻く環境が大きく変化していくなか、将来を見据え、夢のある産業にすることを目指したもので、人材不足と働き方、EVバス普及、自動運転の本格化、キャッシュレス化の推進、安全安心の徹底などを盛り込んだ。 清水氏は「人々の生活や地域の基礎作りを支える努力を続けていることは、我々の誇り。現在のバス業界はもちろん、未来の従業員に向けてもメッセージを発信したい」と意気込んだ。10年ビジョンは年内に策定する予定。
トラベルボイス編集部