鹿児島県 伝統の味「ナリみそ・ドシバン」に挑戦 徳之島町山小 食文化学ぶ
【徳之島】徳之島町立山小学校(和田哲也校長・児童数9人)でこのほど、伝統の「ナリみそ(ソテツみそ)」を使った昔ながらの「ドシバン(雑炊)」づくり体験があった。先人たちの知恵と技術が育んだ伝統食の調理から試食まで五感で学んだ。 3年生の総合的な学習の時間「徳之島町のくらしと文化」の一環。高野舞華さんと長井紬さんが今年7月、「ナリみそ」文化の伝承にも尽力する徳之島地区生活研究グループの森二三江さん(81)と町トモ子さん(83)から、その歴史や作り方を学んだのがきっかけ。 奄美地方の郷土食「ナリみそ」は、ナリ(ソテツの実)を砕いて水にさらして毒素を抜き、大豆や塩などと合わせて作られる。文化庁の「伝統の100年フード部門~江戸時代から続く郷土の料理~」にも認定された。
近くの山公民館調理室であった「ドシバン」づくりは、森さんらの指導で、ツワブキの皮むきや豚のアバラ肉を煮るところからスタート。ナリみそを加えて米と一緒に炊き上げる「ドシバン」づくりを体験。試食を兼ねた〝ソウルフード昼食会〟でもふれあいを深めた。 指導役の森さんらは「ドシバンは昔、農作業中の昼食でよく食べられた。ナリみそを使った伝統的な料理を体験することで、子どもたちに地域の文化や歴史を知ってほしい」と話す。 ドシバンを初めて作って食べた児童の長井さん(3年生)は「最初はどんな味がするのか心配したが、とてもおいしかった。家でも作ってみたい」と笑顔を見せた。 和田校長も「子どもたちは徳之島の食文化の奥深さを学び、地域への愛着も深めるよい機会になったと思う」と話していた。