PGAツアー1年生・久常涼 「ボクは亀なんでコツコツと」/単独インタビュー後編
大きかったPGAツアーの諸先輩方の存在
PGAツアーに順応する上で「感謝してもし過ぎることがないぐらい。めちゃめちゃ助けてもらいました」と言うのが、松山英樹のこと。同じ大会に出場する際には必ず、練習ラウンド同伴を申し込んでいた。 会話の内容こそ「企業秘密っす」と明かさないが、会場でやり取りを見ていると、松山が久常に攻略ポイントを惜しみなく教える姿が目立った。「ツアーの全体の流れや、試合を戦う上でのいろんなこともアドバイスして頂きました。シーズン序盤に色々教えていただいたのは、すごく大きかった」 松山にとってはライバルをひとり多く作るようなものだが、そこは彼の器の大きさだろうか。松山は8月、プレーオフシリーズ初戦の「フェデックスセントジュード選手権」で優勝。「あの人なら普通にやれちゃいますよ。普段の準備を見ていると、毎週勝っても不思議じゃない。来年も松山さんと一緒の試合に出られるときは、練習ラウンドをお願いするつもりです」。10歳若い“弟分”らしくちゃっかりしている。
テキサスでは今田竜二とリモートレッスン
生活に慣れるのも大変だが、米国の種類豊富な芝に慣れるのも外国人選手の鬼門といわれる。屈指のショートゲーマーである松山ですら「芝に慣れるのに2年かかった」と言うほど、対応は難しい。久常も「自分のバリエーションが少なすぎました」と戸惑った。「シーズン途中、ホントにどうやって打ったらいいか、わけが分からなくなって…」 久常は5月末、テキサス州の試合会場から、わらにもすがる思いで今田竜二に“テレビ電話”をかけたという。「テキサス周辺の、グチャグチャなった芝に全く対応ができなかった。地面も硬いし、どう打てばいいんだろうって。答えが分からずそのまま練習していたら、さらにへたになって。『むやみに練習すると悪い方向にいく』のを初めて理解した」 今田は突然の連絡にも関わらず丁寧に教えてくれた。「助けていただいて感謝しかないです。やり方が合わなければ、やっぱり変えなきゃいけない。それが分かったことが大きかった」と久常。「一年経っても『この芝だったらこう打つ』という正解はまだ分かっていないですが、こればっかりは数をこなさないといけない」