北朝鮮「尹錫悦傀儡の大統領権限停止」…2日ぶりに弾劾可決報道
北朝鮮が韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾訴追案が国会で可決されてから2日後の16日、これを報じた。南側の国内政治空白などに乗じて北朝鮮住民に韓国社会に対する否定的な認識を注入することに注力しながらも「敵対的二国家論」に立ち、一定の距離をおいて慎重にアプローチする様子だ。 労働新聞はこの日「傀儡韓国で14日、尹錫悦傀儡に対する弾劾案が可決された」とし「尹錫悦傀儡の大統領権限が停止した」と伝えた。「傀儡」などの表現を繰り返し使ってはいるが、新聞は対外ニュースを扱う6面中間に関連の写真なく事実関係を中心に比較的落ち着いて弾劾訴追案可決のニュースを扱った。 北朝鮮の立場では、南側保守政府の危機は有利に活用することができる内容だが、これといった論評なく関連ニュースをやや短めに伝えた背景にはさまざまな算法が作用したとみられる。専門家は「民意の殿堂」である国会が指導者の独断的な戒厳決定を防ぎ、大規模集会等を通して国民世論が噴出し、弾劾訴追まで進んだ韓国民主主義体制の影響力を慎重に観察している傍証だと分析した。北朝鮮当局の情報統制が以前ほど及ばない中で、南側状況が北朝鮮住民の意識に影響を及ぼす恐れがある点を懸念している可能性が高いということだ。 新聞は尹大統領弾劾案を巡って、7日にも国会表決が行われたが国民の力議員の投票場集団退場で不発になったというニュースと同時に12日の尹大統領の国民向け談話の内容にも言及した。「焦った尹錫悦傀儡が12日にうそとごり押しで構成された談話発表という詐欺劇を打ったが、非常戒厳妄動の責任を野党とその誰の脅威に転嫁し、広範な群衆の弾劾闘争を狂乱の剣の舞として冒涜(ぼうとく)したことにし、政界と社会界から一層激しい反発と怒りを呼び起こした」と主張しながらだ。 特に新聞は「傀儡国防部長官と警察庁長官、ソウル地方警察庁長官が拘束されたことに続いて戒厳司令官に任命された傀儡陸軍参謀総長と国軍防諜司令官、特殊戦司令官、情報司令官などの職務が次々と停止し、首都防衛司令官が逮捕されたことをはじめ、内乱罪の頭目・尹錫悦傀儡とその共犯者に対する捜査が進んでいる」と伝えながら「12・3非常戒厳」関連捜査の進行状況にも詳しく言及した。 これは北朝鮮当局が自分たちに好材料である南側の政治的混乱状況を緻密に把握していることを示す部分だ。これに先立ち、北朝鮮は朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾案が可決された2016年12月当時は約4時間後に対南宣伝用メディアである「わが民族同士」を通じてこれを速かに報じた。 慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮が南側の戒厳・弾劾関連ニュースを慎重に扱う姿」としながら「11日非常戒厳のニュースを伝えた最初の報道とは違って、後続報道で集会写真を公開しないのは北朝鮮住民たちに潜在的な影響を及ぼす恐れがあるという当局の判断が作用したとみられる」と話した。