中田ボタンさんが公表「ステージ4の肺がん」 詳しい症状や治療法、生存率を医師が解説
肺がんステージ4の治療法
病院で行う主な治療法は、抗がん剤治療、緩和治療です。抗がん剤治療は、飲み薬や注射によって投与された薬剤が血液に乗って全身を巡り、がん細胞を攻撃する治療法です。大きくは「殺細胞性抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」に分けられます。 抗がん剤治療だけで肺がんを完治させることはできませんが、がんの進行を制御する効果が期待されます。 ただし、背景の全身状態や副作用の観点などから、薬物治療は寿命や生活に与える悪影響が大きい、と判断された方では、がんの進行は受け入れて緩和治療のみ続けることになります。 「抗がん剤治療」 非小細胞肺がんの方で「殺細胞性抗がん剤」を使う際は、治療によって元気になるというよりも、病気による症状や副作用と上手に付き合いながら、寿命を延ばしていく、というイメージになります。 一方、小細胞肺がんの方や分子標的薬の適応がある非小細胞肺がんの方、免疫チェックポイント阻害薬がよく効く非小細胞肺がんの方では、がんの縮小とともに全身状態が改善することもあります。 「分子標的薬」は、がん遺伝子により生成されるタンパク質の働きを抑えてがん細胞の増殖を抑えます。 「血管新生阻害薬」は、がん細胞が増殖しにくい環境を整える効果などが期待される治療法です。これらは殺細胞性抗がん剤と働きが異なるため、特有の副作用が生じることがあります。 「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞を攻撃する免疫細胞を活発化させる効果が期待され、一部の患者さんに有効性が確認されています(免疫療法とも呼ばれる)。 肺がんになるとがんに対する免疫がうまく働かなくなることが分かっており、従来の化学療法に加えて、免疫療法や血管新生阻害薬など新しい治療法を組み合わせる治療法が出てきました。 その結果、殺細胞性抗がん剤のみを使用していた時代よりも、治療成績は向上してきています。免疫療法ではirAEやimAEと呼ばれる特有の副作用が生じることがあります。 各薬剤については投与スケジュールや方法、注意すべき点、通院か入院どちらで行うかなどが異なるため、担当医師や薬剤師から説明を受けましょう。 「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」は間質性肺炎を合併している方では副作用の間質性肺炎増悪の危険性から使用を回避されることが多いです。 「緩和治療」 緩和治療は抗がん剤の治療とともに行います。がんによる身体的な痛み・副作用の軽減や、生活上の不安などの精神的な苦痛を軽減させることができるので、身体的・精神的に辛い場合には主治医へ相談してください。 「体力維持など」 ご自分でできることとして運動や趣味があります。翌日まで疲れが残るような激しい運動をする必要はありませんが、軽い運動でもより長く繰り返し続けることで治療に必要な体力を維持することにつながります。 また何かに没頭する時間を作ることで、病気を忘れられる時間を作っていただくことも大切と考えています。 余談ですがご自身で用意されたサプリメントの摂取を開始してよいか相談いただくことがあります。 例えば抗がん剤の開始後に採血で肝臓や腎臓に副作用が認められた場合、抗がん剤とサプリメントどちらの影響なのか分からなくなりますので、私としてはお勧めしていません。 またどのような実績があるかも大事なポイントで、「使用した数名の体験記はあるが、どのぐらいの人数が使用してどのぐらいの確率で効いたのか、副作用がどの程度出たのか、などが明示されていない」「実は抗がん剤治療も同時に行っていたのにそれは伏せられて、サプリメントの効果だけが強調されている」などの場合は、謳われる効果の解釈に注意が必要です。