センバツ甲子園 東海大福岡反撃、1点届かず 諦めない粘り 夏への糧に /福岡
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第4日の21日、東海大福岡は4-5で宇治山田商(三重)に敗れ、初戦を突破できなかった。東海大福岡は晴天の甲子園で、昨秋の公式戦と同じく粘り強い野球を最後まで見せたが、再び逆転劇を起こすことはできなかった。しかし、「先輩たちの8強を超えたい」と最後まで諦めずに戦ったナインに対し、三塁側アルプスからは大きな拍手が送られた。【長岡健太郎、林大樹】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 「決める時は決めてくれると信じていた」。1点を追う三回裏2死一、三塁、山本瑛太(3年)が、左前適時打を放って同点に追いつく。 しかし四回、主戦の佐藤翔斗(3年)の2暴投などで3失点。再び追う展開となった五回裏、佐藤の内野安打や四球などで2死満塁にすると、4番打者・藤本塁守(3年)が初球に狙いを定め、右前適時打を放ち1点を奪う。続いて、昨秋の公式戦で打率6割だった野上夕輔(2年)が左前2点適時打を放ち、再び試合を振り出しに戻す。野上は「無我夢中だった。今までに経験したことがない感覚で鳥肌が立った」と振り返った。 だが、直後の六回にまたも1点を失って追う展開が続くが、それでもベンチの選手たちに焦りはない。「走者をためてつないでいけば逆転できる」。井上和翔主将(3年)が仲間を鼓舞。ベンチもアルプス席も一体となって昨秋の九州地区大会などでみせた逆転劇を信じた。 そして九回裏、「絶対に自分が出る」と先頭の井上が左前打で執念の出塁。しかし、続く佐藤は三振を喫し、井上も盗塁失敗。代打の伊藤暖倖(3年)が打ち取られ、東海大福岡の春は終わった。 佐藤は「投げ切れたけど勝ち切れなかった。夏までに野球を学び直して甲子園に戻ってきたい」と語った。チームが掲げた「前人未到」の夢は夏に続く。 ◇チアも選手と同じ衣装で ⚾…選手と同じ衣装で7年ぶりに甲子園出場を果たしたのはチアリーディング部の16人。三塁側アルプススタンドでは、チームと同じブルー地にストライプの一団が応援をリードした。 これまでは定番のスカートだったが、盗撮防止対策もありハーフパンツにした。当初は部員間に惑いの声もあったが、衣装が届くとより一層練習に熱が入ったという。副キャプテンの廣渡心凛(さんり)さん(17)は「新しい衣装を実際に見た時は『ええやん』ってなった。甲子園で披露できてうれしかった」と笑顔だった。 ◇8強時のエース コーチとして甲子園に 夏の初出場目標に生徒とレベルアップ 安田大将さん 8強入りした2017年センバツの主戦右腕で東海大福岡コーチの安田大将(だいすけ)さん(24)が、試合前のノックで後輩を勇気づけた。 安田さんは大学卒業後に母校の教諭となり、野球部を指導する。この日の試合前練習で、本塁付近に立つと「私もですが、少し緊張している選手がいたので元気よく」と軽快にノックした。 試合前は主戦の佐藤翔斗投手(3年)らに「結果を楽しみながら試合をしなさい」と助言。試合中は三塁側アルプススタンドで応援した。「立場がそうさせたのか、今回は球場が不思議と広く感じました。夏の甲子園初出場を目標に生徒と一緒にレベルアップします」と今後はチーム初の春夏連続出場という偉業に挑む。 〔福岡都市圏版〕