パック酒も缶入り日本酒もおいしいけれど…重さ約3キロの「デカい一升瓶」がいまだに愛され続ける理由
日本酒の飲み方が広がっている。酒蔵コーディネーターの髙橋理人さんは「容器だけ見ても、瓶や紙パックや缶、パウチなど多様で、それぞれにメリットと魅力がある。しかし、120年以上の歴史を持つ一升瓶がなくなることはないだろう」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、髙橋理人『酒ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。 ■おいしくてコスパ最強のパック酒 紙パックの容器に入った通称「パック酒」は、手ごろな価格帯で、気軽に購入できるお酒です。 このパック酒に「美味しくなさそう」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、その理由として料理酒と混同されている影響があるかもしれません。 なお、一般的に料理酒として販売されているものは、アルコール度数は3%程度を上限として塩分が添加されています。用途はあくまで調味料であり、飲むことを目的としていないため、お酒には分類されず、酒税がかからないのでその分安価に販売されているのです。 飲用を目的としたパック酒もあります。紙パックは瓶よりも資材費が安く、大量生産ができて重量も軽いので、輸送費は安価で済み、結果的に手ごろな価格で販売されています。 パック酒は保存という点でも優れています。日本酒の劣化に対して、もっとも影響があるのが日光です。紫外線は日本酒の味を変えてしまう、業界用語では「日光臭」と言われる特有の香りを作り出します。 パック酒の包装パックは光を遮断する作りをしているので、紫外線の影響を受けにくくなります。そのため、パック酒はフレッシュな美味しさを長くキープできます。 ■パック酒の革命児「ギンパック」 パック酒の中でもインパクトを与えたのが「菊正宗 しぼりたてギンパック」です。 「いつもの食卓をもっと上質に」というコンセプトを軸に、2016年9月にデビューして以降、従来のパック酒とは一線を画す高い香りが特長です。封を開けた瞬間にふわっとメロンのような香りが舞い上がってきます。 毎年ロンドンで行われる、世界最大規模のワイン品評会「IWC」のSAKE部門において、高品質でもっとも優れたコストパフォーマンスの1銘柄のみに与えられる「グレートバリュー・チャンピオン・サケ」を2019年、2023年と2度も受賞したことがあるほど、実力を兼ね備えたお酒です。 価格は1.8Lで約1600円以下であり、その味わいを踏まえると驚きの価格帯です。