ガチャだけどハズレなし。 KURAND が「酒ガチャ」で生み出す、消費者の期待を超える購入体験
体験したことのあるガチャの楽しさを提供
DD:「ガチャ」というワードの魅力なのか、一般的な言葉なのに印象に残ります。 河端:そもそもECでは試飲などもできないため、いかに目に止めてもらえるかを常に意識しています。デジタル上でのみのコミュニケーションだからこそ、わかりやすく、面白いネーミングは特に重視しているポイントですね。 その意味で「酒ガチャ」にはお客さまに覚えていただきやすいワードの強さがあるので、商品のデザインも面白く頭に残りやすいものにしています。 ロックで飲むための純米大吟醸酒「シロクマ・ロック」 暗闇のなかでは、水色のラベルの蓄光インクが光り、ロック風に DD:実際に手応えはいかがでしょう。 河端:20~30代の普段あまりお酒を飲まない方たちに、ガチャガチャを回すように楽しく気軽にお酒を購入していただきたいと考えてはじめたサービスですが、まさにそういった層の方々に利用いただけています。 ガチャを回す経験は、子供のころのガチャガチャからはじまり、いまはソーシャルゲームのガチャ。その好奇心を掻き立てるようなサービスにできたと感じています。
ソーシャルゲームのガチャとは違うハズレのない魅力
DD:ガチャだとランダム性が高く、何が当たるかわからない楽しさの反面、「ハズレ」に対するネガティブな意見もありそうですがどうでしょう。 河端:サービスを開始した当初は、届くまで中身はまったくわからない文字通りのガチャでした。結果的に、「日本酒は嫌いだ」「甘いお酒は苦手だ」といったネガティブな意見が購入後に出てくることになりました。 我々が目指していたのは単なるガチャの再現ではなく、ガチャのような感覚で気軽に、手軽にオンラインでお酒を楽しんでもらうことです。そこで、自分の好みに合うお酒が届くような仕組みにアップデートしていきました。 最終的に、ガチャでありつつも、苦手なものが届きにくいという現在の形となり、お客さまから支持されるようになりました。 DD:ガチャのエンタメ性は担保しつつ、自分の好みに合うお酒が届く。既存の仕組みのいいところだけを掛け合わせた「酒ガチャ」の魅力は深そうですね。 河端:1度当たった商品は2回目以降当たらないような仕組みになっているので、購入するたびに、新しいお酒と出会う楽しみがあります。リピーターが多いのですが、お客さまにも、お酒と出会える楽しさに魅力を感じていただいているのではないでしょうか。 普段は手に取らないようなお酒も自分好みの範疇で届くため、「こんなお酒好きだったのか」とお客さまが自分の新たな嗜好を知るきっかけにもなっています。 サービス面でも、購入後に付与されるポイントに応じてお酒を1本プレゼントするというキャンペーンを行ったり、ランクアップ特典も用意したりと、購入するたびに自分が手に取らないような商品との出会いが生まれるように設計しました。 こうした「新たな出会い」の機会を積極的に提供していることが、さらなる購入につながっていると考えています。 DD:ハズレのない、常に新しい発見があるガチャは何度も回したくなりそうです。 河端:そもそもこのガチャは必ず購入金額よりもお得になる仕組みになっています。当たり要素が強く、1万円のガチャを購入していただくと、3万円のお酒が当たったり、5万円のお酒が入っていることもあります。一度、35万円のお酒が当たるというキャンペーンもやったことがあります。 そういった当たり要素の大きい商品は楽しみや期待も膨らみ、お客さまにとってプラスになると思っています。「こんな当たり商品が届いた」といった結果をお客さまがSNSにアップしてくださることが多く、それが増えていくと「酒ガチャ」のハードルもさらに下がっていくと思っています。
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