【ジャパンC】近10年は1番人気が5勝、主役は秋盾制したドウデュース 好データ集まるダノンベルーガも面白い
ドウデュース連勝への壁
外国調教馬を含め、前走が海外レースの馬は【0-1-0-28】複勝率3.4%。唯一の好走は凱旋門賞帰りだった5歳ジャスタウェイだけだ。同じく凱旋門賞帰りのシンエンペラーにとって高速馬場への対応はカギとなる。 前走天皇賞(秋)は【6-3-5-34】勝率12.5%、複勝率29.2%。秋華賞【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%と双璧をなす。前者からは勝ち馬ドウデュースをはじめ、4、7、14着馬が駒を進める。 天皇賞(秋)1着は【2-0-3-0】勝率40.0%、複勝率100%と馬券を外していない。とはいえ、ドウデュースの3連複では妙味が薄い。買うなら馬単、3連単のアタマにすえたい。そう考えると5頭で2勝は物足りない。 連勝を決めたのはGⅠ9勝アーモンドアイとGⅠ6勝イクイノックス。5歳でも牝馬のアーモンドアイは勝ったが、3着だったスピルバーグ、ラブリーデイ、キタサンブラックの3頭はいずれもドウデュースと同じ5歳牡馬。天皇賞(秋)との連勝はそれほど楽々越えられるわけではない。 同2着以下は一桁着順であればチャンスはある。4着ジャスティンパレス、7着ソールオリエンスは逆転できるか。また、上述した5歳・非GⅠ馬でいえば、ダノンベルーガが一致する。前走14着は大きなマイナス要素だが、前走を除く東京のGⅠでは4→3→5→4→6着。GⅠを勝つなら、東京しかない。 もうひとつ、天皇賞(秋)での人気別成績をみる。1番人気は【3-0-3-1】勝率42.9%、複勝率85.7%だが、2番人気だと【0-1-0-3】複勝率25.0%。1986年以降、天皇賞(秋)を2番人気で勝ち、ジャパンCで連勝を決めた馬はじつはいない。2着に1988年タマモクロス、1997年エアグルーヴの2頭がいるだけだ。 データを過去10年に戻すと、天皇賞(秋)で5番人気は【2-0-1-0】勝率66.7%、複勝率100%。これに一致するのはダノンベルーガ。前走着順は悪いものの、良いデータもある。 今年の天皇賞(秋)は1000m通過59.9のスローから後半1000m11.9-11.8-11.1-11.1-11.5とハイレベルの持続力勝負になった。同じようなロングスパート戦なら、ドウデュースには敵わない。だが、もう少し中盤が緩やかで、レースの動き出しが遅くなるなら、ダノンベルーガにだって勝機がある。海外で好走しており、本質はスロー寄りに適性があるではないか。 なお、前走秋華賞組は1着が【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%。チェルヴィニアにとってハードルは一段上がるものの、食い下がる場面はあっていい。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳