小西桜子26歳が振り返る“異色のキャリア”。「無名俳優だった」大学生がカンヌ国際映画祭に参加するまで
他人の言動に影響を受けて落ち込むことはしょっちゅう
――りえは一見、ファムファタール(悪女)のように映りますが、底に落ちてもがいている人です。小西さんも落ち込んだり、そこからもがいて立ち上がった経験はありますか? 小西:たくさんあります。しょっちゅうです。たとえば相手は悪気のない、自分でも分かっているひと言で否定されて、制御が効かないくらい影響されて気が狂いそうになったり、なんてことも理解できます。 こういう仕事をしていると、それこそSNSなどで傷つく言葉を目にすることもありますし。でもそれも、自分が変わればいいことなんじゃないかと思えるようになりました。 落ち込むんですけど、そこからポジティブに変換して、自分が周りを、その言葉を変えてみせるくらいの気持ちで頑張るしかないと思うようになりました。 ――拓也についてはどう感じましたか? ワークショップのメンバーと飲み会に言ったときや、そのほかのシーンでも、拓也には「え?」と、突っ込みたくなる職業差別や女性軽視に感じる言動、単純に社会人として浅はかだと思える行動も見えます。 小西:ちょっと思慮に欠けている部分がありますよね。 人のことって、周りが単純に推し量れるものではないので、簡単に良い悪いという言い方はしたくないんですけど、それでも個人的には「なんだろうな」「ちょっと自分に甘いところがあるんじゃないかな」と感じました。 飲み会での言葉も、私だったら引っかかり続けると思いますし、この映画でそうしたシーンが入っているのは、ちゃんと意味があることだと思います。
男性なら称賛されることが女性だと「気が強い」となる
――派生しますが、小西さんは、女性であることで嫌な思いをすることってあると思います? 小西:ハラスメントを受けることは男女に限らずあるものだと思いますが、女性のほうが何を言われても笑顔で流さないといけないことが多いかなとは感じます。 男性だったら言い返して、「男らしい」とか「ちゃんとしてる」と称賛されることでも、女性が反応すると「気が強い」と言われたりする。 ちゃんと意識を持って何かを発信したりできる人が「気が強くて自己主張が強い人」となるのは、私はすごく嫌です。 ――完成作を観て、どんな感想を持ちましたか? 小西:りえにもいろいろあって、自分のことばかりに矢印がいって、自分勝手になってしまったところから、人としてちょっと成長できて、これから変わっていけるんじゃないかと感じました。 それから、現場ではりえとしてしかいませんでしたが、本編を観ると、拓也に感情移入してしまうところもありました。全てがよくなるわけでは決してないけれど、何か小さな光みたいなものが見えるラストにはなったんじゃないかなと思います。 <取材・文・撮影/望月ふみ> 【望月ふみ】 ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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