中国が台湾周辺で軍事演習、ここ1年で最大規模-新総統就任から数日
(ブルームバーグ): 中国人民解放軍は23日、台湾周辺でここ1年では最も広範囲に軍事演習を始めた。台湾の頼清徳新総統の就任後わずか数日での実施となる。
国営新華社通信によると、人民解放軍東部戦区の李熹報道官は、今回の演習について「『台独分裂』勢力による独立を図る行動への強力な懲罰であり、外部勢力の干渉や挑発に対する厳重な警告だ」と述べた。
「外部勢力」は台湾の主要な軍事支援国である米国を指すとみられる。バイデン米大統領は、台湾が攻撃されれば防衛すると繰り返し述べる一方、中国は必要なら台湾を武力で統一する考えを示している。
台湾国防部(国防省)は発表文で、陸海空の兵力の派遣を検討するなどして軍事演習に対応すると説明。中国の行動は地域の平和と安定を破壊する非理性的な挑発だと非難した。
新総統に圧力
今回の演習は、最先端半導体の大半を製造する台湾の総統に20日就任した頼氏への圧力を強めることになる。頼総統は就任演説で、中国は戦争の脅しをやめるべきであり、中台は互いに隷属しないと表明した。
中国はすでに頼政権の発足に不満を示しており、頼氏の演説について「独立を図る危険なシグナルを送った」と反発。また、ブリンケン米国務長官が頼氏の総統就任に祝意を示したことも非難した。
新華社によると、演習は台湾海峡と台湾島の北部、南部、東部、および金門島、馬祖島、烏坵、東引島の周辺で行われる。2日間続くという。
人民解放軍は演習の地図を公表し、台湾島周辺の5つのエリアに加え、中国南部・福建省沖にある4つの島しょを囲むようにマークしていた。一方、中国海警局も同日、烏坵と東引島の近海で訓練を実施したと発表した。
中国は2022年8月の演習時とは異なり、船舶や航空機に対する航行警報を出さなかった。
今回の演習に参加する艦船や航空機の具体的な数は現時点で不明だが、中国軍が台湾周辺でこれほど多くの場所で演習を行うのは昨年4月以来となる。