ウォルマート、ターゲットなどに学ぶ最新のオムニチャネル。カギは「データドリブン」「SNS活用」「インフルエンサー」
ECを展開する小売事業者にとって、2024年はよりオムニチャネルによる戦略が求められそうです。オムニチャネルは従来、ECとリアル店舗をそれぞれつないで販売チャネルを融合するイメージでしたが、双方のチャネルの利点を有効活用した上で、データの追跡と分析を融合させたデータドリブンの取り組みが求められる時代になりつつあります。
データドリブンのマーケティングに注目集まる
米カリフォルニア州南部の都市であるパームスプリングスで2月27日に開催された小売業界の招待制カンファレンス「eTail Connect West(イーリテイルコネクトウエスト)」。ここで、小売事業者によるオムニチャネル戦略が前面に打ち出されました。 登壇した小売企業の各社は、顧客の商習慣や好みを捉えるだけでなく、デジタル化が進んでいる昨今の市況に対応し、データ主導のマーケティングで事業を最適化する必要性があることを強調しました。 小売事業者はこれまでの過去4年間、「新型コロナウイルスの影響による市況の変化に対処し、より少ないリソースでより多くの成果を得る」ために、多方面での最適化・効率化を強いられてきました。カンファレンスの会場となったJWマリオット・デザート・スプリングス・ホテルのホールや館内で交わされる会話を聞けば、小売事業者は共通の悩みを抱えていることがわかりました。 ■ 顧客の潜在ニーズを探るターゲット 米国の大型スーパーマーケットチェーンであるターゲットで、アパレル・アクセサリー商品を担当するジェナ・フォックス氏(シニアバイスプレジデント)は、次のように話します。 ┌────────── ターゲットは、「お客さまが求めるものは何か」を捉えたいと考えています。お客さまのニーズは何なのか――その理由の一部は科学の力で解明することができます。また、ある意味では、新たなニーズの創造とも言えるでしょう。お客さま自身がまだ気付いていない、潜在的なニーズを把握したいと考えています。(フォックス氏) └────────── ターゲットの消費者ニーズの追求は、マーチャンダイジング、ブランディング、オムニチャネル戦略、さらにはその先にまで広げています。 ┌────────── ターゲットがフィットネスブランドの「All In Motion(オール イン・モーション)」を立ち上げたとき、女性、子供、男性など1万5000人の消費者にインタビューを行い、フィットネスに関するあらゆるニーズの把握に努めました。市井(しせい)の人々はフィットネスウェアに何を求めているのでしょうか? わかったことは、人によってささいな違いがあっても、結局は「着心地」に行き着くということでした。(フォックス氏) └────────── ■ ウォルマートの会員獲得戦略