日本橋の街なかがミュージアムに！マップ片手に多様な建築群楽しむ
栄枯盛衰を繰り返す建物と街並み
和を連想させる意匠として、正倉院（奈良市）の「校倉造り」を模した外観のビルとして紹介されているのが、「山本海苔店 日本橋本店」（中央区日本橋室町1の6の3）です。 細長い板を平行に並べたルーバーが並んだような構造が目立ちます。ルーバーそのものは抽象的ですが、モダニズムと日本的な要素を重ねる手法として定着しています。 日本橋エリアでは、近代に受け入れた西洋の様式だけでなく、我が国の伝統を連想させる建築デザインも散見されます。 江戸切子の店「華硝 日本橋店」（旧テーラー堀屋改修、中央区日本橋本町3の6の5）には、切子の意匠と呼応した幾何学的な網目状のパターンが建物内に確認できます。 「建築の展覧会は通常、アートの展覧会と違って実物を展示できませんが、今展で配布したマップを片手に、『鑑賞する目』を持ちながら、あちこちを散策すれば、街なかが“ミュージアム”に変容します」 監修に当たった五十嵐さんのそんな言葉を確かめてみようと、展示会場を後にして、マップ片手に日本橋エリアを散策してみました。 普段は何げなく見過ごしていたビルも、マップの解説を読みながら、あたかもアート作品のように“鑑賞”してみると、ビルの細部までがしっかりと見えてくるのに驚かされます。 また、マップには既に解体されてしまったビルや、解体予定の建築物も掲載されており、建築物の林立する街並みというものが、時代の流れに敏感に反応しながら栄枯盛衰を繰り返していることに改めて気づかされました。 「さらに装飾をひもとく―日本橋の建築・再発見」展は、25年2月24日まで。（読売新聞メディア局 市原尚士）
