《交流戦制覇》もわずか1年で解任…楽天・今江敏晃は「悲しき指揮官」令和の監督たちが直面する「過酷な現実」
2024年の日本シリーズでは、横浜DeNAベイスターズが福岡ソフトバンクホークスを4勝2敗で下し、26年ぶりの日本一の栄冠を手にした。その一方で、今年は阪神、中日、楽天、オリックス、西武の5球団の監督交代が発表されている(※11月25日現在)。 【一覧】プロ野球「最も愛された監督ランキング30」最下位は、まさかの… 球界を盛り上げた監督たちに敬意を表しつつ、彼らの功績や苦悩について、ライターの長谷川晶一さん、村瀬秀信さんに振り返ってもらった。 【はじめから読む】『「令和の米騒動」「晒し投げの衝撃」中日人気復活の一方で、球団ワースト3年連続最下位…今こそ立浪ドラゴンズを振り返る』
交流戦を優勝しながら…「令和の悲しき指揮官」
村瀬:最終回となる第5回は、楽天の今江敏晃監督について語りたいと思います。彼こそ「令和の悲しき指揮官」ですね。YouTubeで田尾安志さんが「球団は野球人のことを全く理解していない」と猛批判していました。 長谷川:楽天は創立以来20年間で、1年で退任した監督が6人。異様ですよね。 村瀬:今江さんは1年目で4位。開幕前は多くの解説者が最下位予想するなか、交流戦で優勝し、大健闘しました。だからこそ2年目、3年目も続投するんだろうとみんなが思っていたし、ご自身もシーズン最終戦で「若手がすごく育っていて楽しみだ。この秋から厳しい練習をやって、来年は必ず勝ちます」とスピーチされたんですが、その翌日に解任。むごすぎますよ。 長谷川:あのスピーチ、いま聞くと悲しいよね。今年、仙台に試合を観にいったんですが、初めて名前を聞くような若手も多かったんですよ。ファームで実績を残していたり、未来のクリーンナップ候補と呼ばれている選手を育てようとしていたんだよね。今は過渡期だから、来年、再来年にかけて今江チルドレンでスタメンを組むのを想定していたんじゃないかな。3年ぐらいで結果を出せばいいなと思っていたら……。 村瀬:結局、今江さん自身は何も知らされないままですよ。そんな話あります? 試合が終わった後に戦力がないと言い訳をするとか、時にはそのことへの批判もあったようですけど、そりゃ言いたくもなるよなって気持ちも分かりますけどね。 長谷川:マーくん(田中将大)の扱いも大変だったと思うんだよね。結局、今季は1試合しか投げてないけど、コンディション不良なのか、どうしてなのかはよくわからない。オーナーの三木谷浩史氏は、今江さんのマー君の扱いも不満だったと聞きますね。ロッテファンは「もう戻ってこい」みたいな心境になっているんじゃないですか? 村瀬:でしょうね。広島の緒方孝市監督だって、1年目が終わった時はボロクソに言われていましたけど、そこから3連覇ですから。1年で切るって、そのチームの未来も一緒に潰しちゃっている感じがします。 長谷川:だって、4位ですからね。なんで解任なのか、球団も理由が説明できないし、こちらもわからないっていう。 村瀬:交流戦も優勝したし、よくやっているほうです。正直、楽天って全国区の選手が少ないじゃないですか。だから今江さんは自分が表に出ていかなきゃいけないと、ファンサービスも頑張っていたんですよね。実際、今年は観客動員も20~30%アップしているそうです。 長谷川:仙台に行ったとき、球場とかずいぶん今江推しだなと思ったんだよね。 これは完全に余談なんだけど、楽天のファンクラブ会員がもらえるグッズで、選手の顔が描かれたクッションがあるんですよ。シークレット商品でどの選手が出るかわからないんだけど、これはね、今江さんが当たりなんです。メルカリでも一番高いって聞いた(笑) だから、若いスターが育つまでは、しばらくこのままで行くんだろうなと思っていたんだよ。