「維新の党」「大阪維新の会」「おおさか維新の会」それぞれ何が違うの?
東京と大阪では大きかった温度差
しかし、住民投票で否決された都構想を再び掲げた大阪維新の会が11月の大阪府知事・市長のダブル選挙で圧勝できたのは、なぜなのでしょう? 「全国的には報道されていませんが、住民投票で都構想が否決された後、自民・共産党議員らは『都構想にしないが、二重行政問題には取り組む』とは言っていたそうです。それを聞いた維新の地方議員たちは、それなら協力しようと『大阪戦略調整会議(大阪会議)』に参加したのですが、自民議員らは会議に欠席するなど、本気で二重行政を解消する気は、さらさらなかったのです。都構想のようなドラスティックな変革を嫌った大阪府民ですが、二重行政自体は、解消すべきだと考えています。既存の政党に失望した府民たちは、改めて大阪維新に希望を託しました。つまりダブル選挙にあたって、大阪の選挙区の空気感は、東京で我々が感じていたものと大きく違っていたのです」(鈴木氏) このように、大阪維新の会の大阪での働きは、非常に合理的で説得力のあるものです。しかし、国政のほうのおおさか維新の会は何をしたいのかが、まったく見えてこないと、鈴木氏は言います。 ダブル選挙で勝利したことで、橋下氏ら大阪系の存在感が増し、世間的には分裂騒動はもう収束に向かっているような印象を受けますが、まだまだ維新の本流をめぐる「泥仕合」は終わっていません。おおさか維新の会と維新の党は、しっかりと関係に白黒をつけなければ、政界の再編も進まないでしょう。10年に橋下徹氏が大阪で改革政党として立ち上げた大阪維新の会に端を発し、日本中に旋風を巻き起こした「維新」は、今まさに正念場を迎えているのかもしれません。 (高橋明日香/清談社)