「令和6年度 総合火力演習」目の前で展開される“戦車戦”。戦車・機動戦闘車の“見せ方”が変わった!
後段演習―即応機動連隊による島嶼防衛
昨年の総火演 後段演習は、(1)対艦戦闘・着上陸阻止、(2)水陸両用作戦・空挺作戦、(3)機動師団主力による敵の撃破、の三段構成で、第1空挺団や水陸機動団を含めて陸上自衛隊の主要部隊・装備がすべて活躍する総花的で、スケールの大きなものだった。しかし、今年度は上陸した敵部隊に対する増強即応機動連隊による阻止にスポットを当て、空挺降下やヘリボーン、AAV7水陸両用車による上陸といった演目はなくなった。 具体的に今年の後段演習の内容は――特科やF-2戦闘機による近接航空支援、AH-1S攻撃ヘリと連携した即応機動連隊(16式機動戦闘車部隊)が敵を阻止・減殺しつつ、敵の陣地前に構築された障害(地雷原など)を処理し、最終的に90式戦車と機械化された普通科部隊による二方面からの突撃で敵を撃破する――というものだった。 これまでの総火演では、それぞれの車両・航空機が登場するたびに「紹介アナウンス→攻撃指示の無線→攻撃の実行」が繰り返され、とてもわかりやすい構成になっていたが、今回はアナウンスの回数が減り、内容も戦闘状況を解説するにとどまっている。一方で部隊間の無線交信が常時、場内に放送されたが、ある程度の前提知識がなければ聞き取れず、理解が難しいものであることは確かだ。全国民に見せるためのエンターテイメントから、隊内の教育を目的とした内容へ、総火演は大きく変化したと言える。
綾部 剛之