トランプ氏再登板、ニッチな新興国ジャンク債に投資妙味-リスク選好
(ブルームバーグ): 米国でのトランプ次期政権発足に向け、新興国の投資不適格(ジャンク)級ドル建て債がUBSアセット・マネジメントやPGIMフィクスト・インカム、ラザード・アセット・マネジメントの新たな注目を集めている。
外貨準備高の増加や構造的な経済改革などファンダメンタルズの改善が見られる一部新興国の国債は、世界的な金利変動の影響を受けにくく、トランプ氏の関税政策に対する懸念から生じる為替相場の変動からも、ある程度守られそうだと考えられている。
2024年の大半において、ポートフォリオマネジャーは高利回り債値上がりの恩恵にあずかってきた。ブルームバーグの集計データによれば、新興国ハードカレンシージャンク債は、年初来で投資家にプラス14.5%のリターンをもたらし、投資適格債のプラス3.2%を上回っている。
1兆8000億ドル(約277兆円)を運用するUBSアセットの新興国市場・アジア太平洋債責任者シャマイラ・カーン氏は、今年に入り少なくともプラス23%のリターンを記録しているアルゼンチンとスリランカ、パキスタンの債券について、さらに相場が上昇する可能性があるとみている。
同氏は「ファンダメンタルズの改善が進み、デフォルト(債務不履行)から脱した国々は今後も好調を維持する」と予想。「60%や70%の値上がりはもう望めないしれないが、それでも魅力的な2桁のリターンは見込める。この分野に弱さが見られるなら、それは素晴らしい好機だ」と述べた。
流動性や格付けの懸念から、新興国のジャンク債に資金を投じることのできる投資家は限られている。ましてや投資を積み増せる投資家はほとんどいない。そのため、リスク資産が不安定な時期にこうした債券のニッチ性に狙いを定める戦略を重視するファンドマネジャーもいる。
トランプ氏がホワイトハウスへの返り咲きを確実にすると、6日にはウクライナやエルサルバドル、エクアドル、アルゼンチンなどのドル建て債の価格が上昇。 市場が不安定な動きを見せたこの日、その値上がりは際立っていた。