<センバツ>病気克服、いつも全力 米子東の本多翔選手
◇第91回選抜高校野球 ○札幌大谷4-1米子東●(24日・甲子園) 24日の第3試合に出場した米子東(鳥取)の本多翔選手(3年)は入学当初、利き手である右手が震えてしまう病気に悩まされ、プレーできない日々を過ごした。監督のアドバイスやチームメートの励ましで治療に専念し、症状を克服。左翼手として憧れのグラウンドを全力で駆け抜けた。 【今大会の全ホームランを写真特集で】 中学3年の春、野球の練習中に突然、右手に力が入らなくなった。肩より上に手が上がらず、だるさも感じた。近くの整形外科で「関節痛」と言われ湿布を貼るなどしたが、改善しなかった。 米子東に進み、野球部に入ってすぐのことだった。紙本庸由(のぶゆき)監督は、送球が突然乱れる本多選手の姿に違和感を覚えた。けがの予防について学んでいたため、神経科を受診するよう本多選手に助言。鎖骨付近の神経などが圧迫されて起きる「胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群」と診断された。 紙本監督によると、病気と気付かずにプレーを諦めてしまう選手もいるという。本多選手は約2カ月間、練習を控え、マッサージなどの治療を続けた。ボールを握れずつらい日が続いたが、チームメートが「元気な翔とまた野球がしたい」と声をかけてくれた。症状が落ち着き、1年秋から練習に復帰。昨秋の中国大会準決勝では適時打を放ち、センバツ出場に貢献した。 昨秋の明治神宮大会の覇者・札幌大谷(北海道)との初戦では、左翼から最後まで声を出し続け、チームをもり立てた。試合は敗れたが、その表情には充実感が漂っていた。「病気で悩んでいたころは、思い切り投げられる日が来ると思えなかった」【園部仁史】