徳田氏辞職の「衆院鹿児島2区」補選のポイント /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
(4)TPP交渉の行方
むしろ消費税よりにわかにきな臭くなってきたのがこちらの方です。日本はオバマ大統領が訪日する24日以降の日米首脳会談までにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を妥結させたいと必死です。米側も強くそれを望んでいます。 一番隔たっているのはコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖およびその原料の「重要5項目」で日本は関税をかけて国内農家を保護したく米側は「原則関税ゼロ」を譲りません。このまま対立が続けば訪日した米大統領を手ぶらで帰す羽目になりかねず、といって「重要5項目」の維持は安倍政権の公約でもあり、まさにハムレット状態。仮に首脳会談成功(24日・25日に予定)のため米側へ譲歩すれば「コメ」と「砂糖」「原料」であるサトウキビを主な産業とする奄美は激怒するでしょう。 その際に金子候補が「私は反対だ」といくら言い募っても自民公認ですから27日の選挙で有権者が聞く耳を持つとはとても思えません。打越候補は毎日新聞が12年総選挙で聞いたアンケートで「コメなど可能な限り多くの例外品目を設けるべきだ」と答えているので野党の気楽さもあって「許せない!」とシュプレヒコールを上げるのが可能です。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】