プロ野球の観客動員が過去最多でも「球団格差」…コロナ前と比べて観客が増えた球団・減った球団
しかし大学野球は早慶戦を除いていっぱいになることはないが、ヤクルト戦は3万人近くが入る。一昨年までリーグ連覇したこともあり、観客は増えている。神宮球場の移転、建て替え問題が議論されているが、何とかすべき時期にきていると言えよう。 千葉ロッテのZOZOマリンスタジアムも、開場から34年目になり観戦環境としては良好とはいえないが、観客は増えている。このチームの場合「強烈な応援」が、最大の売りではないか。今季の大応援団は新加入のネフタリ・ソトに「バーモ・ネフタリ、バーモ・ネフタリ」、昨年からいるグレゴリー・ポランコに対して「エールコーヒー、エールコーヒー」と、耳底に残って離れないような中毒性のある声援を送っている。この応援を聞くために、外国人観光客も大挙して来ているようだ。
ロッテの執行役員事業本部長だった荒木重雄氏は「野球にそれほど興味がない観客をファンにするために、ロッテは『応援』をコンテンツにした」と話した。まさにそれが功を奏したといえよう。 楽天の楽天モバイルパーク宮城は、開場から74年。楽天が本拠地にしてから何度も改装しているが、この球場も老朽化が目立つ。内野席からの「視界の悪さ」も気になるところだ。 この球場は、東京ドーム、エスコンフィールドとともにキャッシュレス決済で現金が使えないが、年配の観客が戸惑う風景がよく見られる。また楽天はチケットのダイナミックプライシングを導入しているが、他球場に比べて入場料は割高感がある。今季は後半、追い込みで観客が入り、昨年の1万8868人を大きく上回る2万3132人が入ったが。それでも動員率は74%だ。スター不在の地味なチームでもあり、決め手に欠くという印象だ。
■夏場は厳しい西武のベルーナドーム 最も深刻なのは今季、パ・リーグで大差をつけて最下位に沈んだ西武だろう。観客は平均2万1601人、動員率は68.5%だった。チームの低迷に加え、屋外球場に屋根を取り付けた本拠地ベルーナドームは6月以降、湿気と強烈な暑さに見舞われる。2021年に大改修をして客席は快適性を増したが、この蒸し暑さは耐えがたいと思う。球場には巨大なファンが設置され、風を送っているが、空調がない「半屋外」ドームは、夏場に野球を観るには厳しい環境だ。