「自分自身という、すごく身近ですごく大きな壁」――北京五輪に挑む鍵山優真、一番の敵は「メンタル」
敵は「メンタル」。消せない不安をどう乗り越える
今、一番の敵は「メンタル」だと語る。 「今シーズン、いろいろ考え過ぎて、不安な気持ちで悪い演技をしてしまったこともあったので。自分の緊張に勝つこと、メンタルがやっぱり一番です。自分自身という、すごく身近ですごく大きな壁、ここを乗り越えていかなければならないなと思います」 今季は夏から秋にかけて、苦しい時期が続いた。「どれだけ練習しても試合では無理なんじゃないか」と考え込んでしまった。霧が晴れたのは11月、グランプリシリーズのイタリア大会。ショートで7位と出遅れながら、フリーで挽回し優勝した。 「ショートで今までにないぐらいひどい演技をしてしまって、気持ちがどん底まで落ちていたんです。フリーの練習の時、お父さんから『試合だからって特別感を感じるんじゃなくて、練習でやってきたことをそのまま試合に出すだけ』という言葉をもらって。フリーでは、ただ強い気持ちだけを持って臨んで、ノーミスの演技をすることができたので、自分を信じればできるんだと確信を持ちました」
「試合はたった数分で一発勝負。不安は消せない。どうしても試合になると、できるかなと思うんです。そこでなんとか、自分が今までやってきた数々の練習経験を信じることが本当に大切だと思います。それができれば、いい演技がきっとできる。リンクに立った瞬間が一番緊張しますし、もう逃げられない。だからこそ、自分を信じるしかない」 12月の全日本選手権を終えてから、北京五輪に向けて順調に調整してきた。1月中旬、中京大学で行われた公開練習では、新たな武器、4回転ループに挑んでいた。 「オリンピックまでにどういう課題に取り組んで練習していくのか、スケジュールを組み立てているので、計画通りにできていると思います。新しい4回転ジャンプを練習していますが、やっぱり難しくて、自分の中では未知の世界。まだ波がある状態なので、早く安定させて、オリンピックで構成としてしっかりと入れられるようにがんばりたい。攻め切った演技ができたらいいなと思います」