石川遼、史上最多の大会4勝目 18番の第2打「自分のベース」3番ユーティリティーで放ったウイニングショット【男子ゴルフ】
◇10日 男子ゴルフ 三井住友VISA太平洋マスターズ最終日(静岡県御殿場市、太平洋C御殿場C) 石川遼(33)=カシオ=がツアー通算20勝を達成した。首位と1打差の2位から出て、18番のバーディーで逆転。5バーディー、2ボギーの67で回り、通算11アンダーで大混戦を制した。今季は6月のJPCサトウ食品に続く2勝目。大会4勝はジャンボ尾崎や中嶋常幸らを抜き、史上最多となった。 これほどかっこいい締め方もない。最終組で追う展開だった石川は、17番ティーに上がった時、首位に並んでいることを知った。17番は超難関のパー3。「パーで通過して、18番はバーディーマスト。それしかない」。思惑通り、17番は5メートルに無難に乗せて通過。そして18番パー5。残り230ヤードの第2打で「自分のベースになるクラブ」という3番ユーティリティーを握った。 クラブの芯にボールの芯が当たれば、グリーン奥に乗る。「そこから気合の2パットで」という計算だったが、ややダフった。それを察した佐藤賢和キャディーが、祈りを込めて「ゴー!」と叫んだ。ボールはピン左手前8メートルに2オン。「多少ダフっても、右にある池は越える」というマネジメントを信じたウイニングショットになった。 石川のためにある大会だった。大会をPRするアンバサダーを務め、顔写真が大きくデザインされたポスターが会場周辺の街中に張り巡らされた。期間中は連日、ギャラリーが対象のゴルフクリニックや写真撮影会を開催。試合では初日から4位で優勝争いに加わり、興味を引きつけた。3日目は観客数が1万人を超え、最終日も悪天候の中、8500人以上が集まった。そして、絵に描いたような最終ホールの逆転勝ち。本人も「幸せ者です!」と叫んだ。 16歳でプロ転向し、17年で節目の20勝。途中、米ツアー転出で日本を留守にした時期もあったが、それでも33歳54日での快挙は中嶋常幸、ジャンボ尾崎、池田勇太、倉本昌弘に次ぐ5番目の年少記録だ。賞金ランクでも1位まで約3000万円差の5位に上がった。 永久シードの25勝が、徐々に現実味を増してきた。本人は「(20勝という数字に)強い思い入れはない。自分は、これからが勝負だと思っている」という。まだ33歳。可能性はどこまでも広がっている。
中日スポーツ