漆で下塗り「黒の首里城」、「血の川」から取り出したバクテリア顔料で琉球期の「赤」目指す…火災から5年
川の水を濾して取り出したバクテリアを顔料に加工。漆や油を混ぜて塗ってみると、平成の復元時よりも深い色合いの弁柄が誕生した。粒子が細かく、塗装職人からも「塗りやすい」と太鼓判を得た。
顔料の完成から間もなく、首里城が燃えた。現場に着いた幸喜さんは眼前で燃えさかる正殿に、「県民の心のよりどころが失われた」とショックを受けた。同時に塗装技術を継承する大切さを痛感した。
平成の復元では、塗装は全て県外の職人が担ったが、今回は約30人全員が県内在住者だ。「県民の新しい希望になるよう、一人ひとりが情熱を持って作業にあたっている」。26年秋の完成に向けて、幸喜さんは決意を新たにしている。
共同企業体(JV)で工事を請け負う清水建設によると、来年夏頃にはプレハブが撤去され、赤い正殿が姿を現すという。