「何やっているの!」27歳で介護に直面し、認知症の父に大声で怒りをぶつけた後悔 ハリー杉山が介護情報を発信する訳
27歳で父を介護することになったハリー杉山さん。当時は周囲に介護を経験した人もいなくて、手さぐり状態だったといいます。「もし知識があったら、苦しい思いをせずに済んだかもしれない」。講演会やメディアを通じて、積極的に情報発信をする今があります。(全5回中の3回) 【写真】可愛すぎる!幼いころのハリーさんとダンディな父とのツーショット(全15枚)
■「何も知らないと準備もできない」介護の現実 ── ハリーさんは、お父様の介護経験や認知症に関する知識をテレビやラジオ、講演会などで広く発信しているそうですね。
ハリーさん:身近な人が認知症と向き合うことになったとき、何も知らない状態だと心の準備もできないし、どんな接し方をしたらいいかもわかりません。父が認知症と診断されたとき、僕は知識がなさすぎました。どう接したらいいかも、どんな介護サービスがあるのかも知りませんでした。当時27歳だった僕にとって介護は遠い話でした。 両親とも老後のライフプランについて、まったく話し合えていませんでした。だから、認知症と向き合うことになった父が肺炎になって病院に運ばれたとき、延命措置をどうするかもすごく悩んだんです。もっと前から、しっかりと意思を確認できていたら、迷わずにさまざまな選択ができただろうと思います。こうした経験から、介護が自分ごととなったとき、知っておいたほうがいい予備知識はたくさんあると痛感しています。僕の経験が少しでも誰かの役に立てばと思い、積極的に発信しています。まったく認知症に関する知識がなかった僕は、父に対して誤った接し方をしてしまいました。
■パーキンソン病も患った父「理解するには学ぶしかない」 ── 誤った接し方とはどんなことでしょうか? ハリーさん:わからないことが増えていく父に対し、怒ってしまったんです。認知症と向き合う人は、とまどいながら日々を過ごしています。混乱のさなかにいる人に対し、「何やっているの!?」など、大声を出したりすると追いつめてしまう。本当に誤った接し方をしていたと思います。認知症と向き合う人とのコミュニケーションは、ゆっくりと聞きやすい声で話すことが基本です。僕だって、いきなり誰かに大声で怒鳴られたらびっくりします。それと一緒です。