ソ連と米国のキケンすぎる「チキンレース」に戦慄…「地球は滅亡しかけていた」
核兵器で反撃する選択肢「放棄せず」
米国政府は2021年、核兵器の使用を報復のみに限定し、先制使用は行わない政策の採用を一時検討しました。しかし最終的に見送りました。見送ったのは、日本など米国の「核の傘」に入る同盟国が反対したからだと言われています。 米国政府が2022年10月に公表した核兵器政策に関する基本文書(「核態勢の見直し〈NPR〉」)は、見送った理由について「米国と同盟国に戦略レベルの損害を与え得る相手側の非核能力を踏まえれば、(先制不使用政策は)許容できないリスクをもたらす」と記述しています。 この「戦略レベルの損害を与え得る相手側の非核能力」とは、極超音速兵器を念頭に置いているものと思われます。 同盟国に対する極超音速兵器による戦略レベルの攻撃に対しては、核兵器で反撃する選択肢を放棄しないと判断したのです。 2023年3月10日に開かれた米下院軍事委員会戦略軍小委員会で、民主党のセス・モールトン議員は次のように発言し、極超音速兵器は核戦争のリスクを高め世界を不安定にすると指摘しました。 「もしある国が、飛来する極超音速ミサイルが戦略核兵器であるか否か、あるいはどこに向けられているのかを判断できない場合、その国は全面的な核反撃を開始せざるを得ないと感じ、その結果、核兵器による大惨事が起きる可能性があります」 米国の地上発射型中距離ミサイルのアジアへの配備が中国による台湾侵攻の抑止に有効かについては、さまざまな意見があります。仮に有効だとしても、核戦争を引き起こすリスクがあることを踏まえた議論を行う必要があります。 >>「「米国に見捨てられる…」安倍・岸田の恐怖が生んだ「戦慄すべき」日本の末路「もはや米国のミサイル基地」」からこれまでの内容をおさらいできます。
布施 祐仁(ジャーナリスト)