天皇陛下85歳 誕生日会見 (全文) 平成が戦争なき時代として終わろうとして安堵
天皇陛下は23日、85歳の誕生日を迎えられた。これに先立って行われた記者会見で、陛下は第2次世界大戦後から今日までを振り返り、「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と語った。また皇后さまに対しては「60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を真心を持って果たしてきたことを心から労いたく思います」と感謝した。 【動画】天皇陛下85歳 平成最後の誕生日会見=宮内庁提供映像(2018年12月23日) 陛下は2019年4月30日に退位されるため、平成最後の誕生日会見となった。
最後となる誕生日会見
NHK:宮内記者会の幹事を務めておりますNHKのハシグチと申します。天皇陛下におかれましては、この度、85歳のお誕生日を迎えられますことを、記者会一同、心よりお慶び申し上げます。 天皇陛下:どうもありがとう。 NHK:お誕生日の会見は、これで最後になります。これまで30年にわたり、毎年お考えをうかがう貴重な機会をいただきましたことに、厚く御礼申し上げます。私たちは、天皇陛下の象徴としてのこれまでの歩みを心に留めながら、今日のお言葉を拝聴し、広く国民に、また後世に伝えてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 天皇陛下:どうぞ (※記者一同着席) NHK:それでは質問させていただきます。天皇陛下として迎えられる最後の誕生日となりました。陛下が皇后さまとともに歩まれてきた日々は、まもなく区切りを迎え、皇室は新たな世代が担っていくこととなります。現在のご心境とともに、今、国民に伝えたいことをお聞かせ下さい。
災害が相次いだ2018年
天皇陛下:この1年を振り返るとき、例年にもまして多かった災害のことは忘れられません。集中豪雨、地震、そして台風などによって多くの人の命が落とされ、また、それまでの生活の基盤を失いました。新聞やテレビを通して災害の様子を知り、また、後日いくつかの被災地を訪れて災害の状況を実際に見ましたが、自然の力は想像を絶するものでした。命を失った人々に追悼の意を表するとともに、被害を受けた人々が一日も早く元の生活を取り戻せるよう願っています。ちなみに、私が初めて被災地を訪問したのは昭和34(1959)年、昭和天皇の名代(みょうだい)として伊勢湾台風の被害を受けた地域を訪れたときのことでした。 今年も暮れようとしており、来年春の私の譲位の日も近づいてきています。私は即位以来、日本国憲法の下で象徴と位置づけられた天皇の望ましいあり方を求めながら、その務めを行い、今日までを過ごしてきました。譲位の日を迎えるまで、引き続きそのあり方を求めながら、日々の務めを行っていきたいと思います。