天皇陛下85歳 誕生日会見 (全文) 平成が戦争なき時代として終わろうとして安堵
雲仙普賢岳から阪神大震災、東日本大震災
次に心に残るのは、災害のことです。平成3年の雲仙普賢岳の噴火、平成5年の北海道南西沖地震と奥尻島の津波被害に始まり、平成7年の阪神・淡路大震災、平成23年の東日本大震災など数多くの災害が起こり、多くの人命が失われ、数知れぬ人々が被害を受けたことに、言葉に尽くせぬ悲しみを覚えます。 ただ、その中で人々の間にボランティア活動をはじめ、さまざまな助け合いの気持ちが育まれ、防災に対する意識と対応が高まってきたことには勇気づけられます。また、災害が発生したときに、規律正しく対応する人々の姿にはいつも心を打たれています。 障害者をはじめ、困難を抱えている人に心を寄せていくことも私どもの大切な務めと思い、過ごしてきました。障害者のスポーツは、ヨーロッパでリハビリテーションのために始まったものでしたが、それを超えて、障害者自身がスポーツを楽しみ、さらにそれを見る人も楽しむスポーツになることを私どもは願ってきました。パラリンピックをはじめ、国内で毎年行われる全国障害者スポーツ大会を皆が楽しんでいることを感慨深く思います。
海外移住した日本人と日本に来る外国人
今年、わが国から海外への移住が始まって150年を迎えました。この間、多くの日本人は、赴いた地の人々の助けを受けながら、努力を重ね、その社会の一員として活躍するようになりました。こうした日系の人たちの努力を思いながら、各国を訪れた際にはできる限り会う機会を持ってきました。 そして、近年多くの外国人がわが国で働くようになりました。私どもがフィリピンやベトナムを訪問した際も、将来日本で職業に就くことを目指してその準備に励んでいる人たちと会いました。日系の人たちが各国で助けを受けながら、それぞれの社会の一員として活躍していることに思いをいたしつつ、各国からわが国に来て仕事をする人々を社会の一員として、私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています。 また、外国からの訪問者も年々増えています。この訪問者が、わが国を自らの目で見て理解を深め、各国との親善友好関係が進むことを願っています。