「入居人が亡くなれば、さらに億単位のカネが入ってくる…」人気絶頂のシニアマンションの「ヤバすぎる裏側」
タワマンよりオイシイ?
そこでデベロッパーが注力するのが高級シニアマンションだ。 「三井不動産が手がけるパークウェルステイトシリーズは、海浜幕張駅から徒歩20分や辻堂駅から徒歩25分など、駅から離れた場所にあって交通の便は良くない。そこにタワマンを建てても高値では売れづらい。 ところが高齢者の場合、日頃の移動はそこまで活発ではないので、駅からの距離はあまり関係ない。大切なのは施設の豪華さとサービスの充実度ですから。タワマンを建てづらい土地でも、シニア向けの高級なレジデンスを建てれば売れるという狙いがあるのです。 さらに、ある面では高級シニアマンションはタワマンよりオイシイ商売とも言えます。残酷な話ではありますが、『一時入居金』を支払うシニアマンションの場合、額がどれだけ高額でも基本的にはその部屋の所有権を得られるわけではありません。あくまで『お亡くなりになる、あるいは一定の年齢に達するまではその部屋を使用することができます』という権利をもらうだけ。その部屋に住んでいた人が亡くなれば、また別のシニア富裕層が高額な一時入居金を支払ってそこに住む。 住む人の寿命を鑑みれば、20年に一度高額な入居金が入ってくるというビジネスモデルなんです。『旨み』が大きい商売でもあるので、今後セールスも開発も過熱していくでしょう」(同前) 大手デベロッパーには富裕層に簡単にアプローチできるという強みもある。老人ホーム紹介サービス「シニアホームの窓口」を運営するファーストブリッジ代表取締役・森坪真澄氏が説明する。 「私たちは老人ホームの運営会社に『弊社と業務提携をしていただければ、入居希望者を紹介できるように尽力いたします』とお伝えしています。しかし大手不動産デベロッパー系の運営会社は、すでに富裕層の顧客データを持っている場合があり、『基本的には既存顧客でなんとかやりますから』というスタンスです。既存の顧客を持っているため、営業や需要の掘り起こしに強みがあるのだと思います」 これまで不動産の管理や販売、あるいは相続の相談などを通じて知り合った富裕層顧客を抱える大手デベロッパーであれば、「そろそろシニアマンションにお住まいになってはいかがですか?」と営業レターを送れば、簡単に顧客の興味関心をひくことができる、というわけだ。