千葉県内最年少、19歳タクシー運転手が誕生 「父の売り上げを超えたい」 業界待望の新人デビュー
タクシー業界で運転手不足が指摘される中、成田市で11月、県内最年少となる19歳の運転手が誕生した。「京成タクシー成田」の小椋奈々未さん。同社で1月から働く父親の芳幸さん(61)の背中を追いかけて運転手になった奈々未さんは「父より良い売り上げを出したい」と意気込んでいる。 タクシー運転手に必要な二種免許はこれまで「21歳以上で普通免許取得3年以上」が受験条件だった。運転手不足などを背景に、2022年5月に道交法が改正され、約1カ月の特例教習を受ければ「19歳以上で普通免許取得1年以上」で受験可能になった。 奈々未さんは富里市出身。四街道市の高校在学中に16歳で原付免許、18歳の誕生日を迎えた直後に普通免許を取得した。接客のアルバイトでためたお金で、卒業後すぐに軽自動車を購入したといい「早く車の運転をしたかった」と振り返る。通勤や友人との外出で連日愛車を操るうちに、運転が得意になった。
トラック運転手だった芳幸さんは、定年退職を機に1月に同社に就職。深夜に帰宅して早朝には出勤するトラック運転手に比べ、隔日勤務で自宅にいる時間が多くなり、娘と会話する機会が増えたという。奈々未さんは以前より自由に生き生きと働く父親の姿を見て、得意の運転やバイトで培った接客スキルを生かそうと、タクシー運転手になることを決意した。 入社後は二種免許を取得するため、年齢や経験不足を補うための特例講習を約1カ月受講。入念な講習は「期間が長くて大変だった」。難易度の高い試験も一発で合格し、11月11日に晴れて運転手としてデビューした。 現在は成田駅のロータリーを拠点に成田市内を走り、時には県外まで運転する。乗客から「若いね」「頑張って」とエールを送られることも多く、やりがいを感じている。成田駅から仕事帰り乗った客にジュース代のチップをもらったときはうれしかった。 「まだまだ未熟なところも多いが、精一杯頑張り、父の売り上げを超えたい」と力を込める奈々未さん。芳幸さんは「決済システムについては、私が教わっているぐらい」と、同じ道を歩み始めた娘に目を細める。高齢化が進むタクシー業界にとって待望の新人は、今日も父親とハンドルを握る。