川崎F対G大阪　後半、ゴールを決めポーズを決める川崎F小林（右）と家長（左）（撮影・垰建太）

＜明治安田J1：川崎F1－1G大阪＞◇第34節◇18日◇U等々力 　川崎フロンターレが、鬼木達監督（50）の今季限りでの退任発表後初の試合で、G大阪と1－1で引き分けた。前半7分に先制を許したが、後半36分にFW小林悠（37）の得点で追いついた。鬼木監督就任初年度の17年に主将として23ゴールを挙げ、得点王＆MVPでJ1制覇に貢献した愛弟子が、感謝を込めた。J1歴代単独トップとなる途中出場から28点目もマーク。3連勝は逃したものの、最低限の勝ち点1を恩師にもたらした。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　鬼木采配がズバリ的中した。後半23分、アタッカーを一挙4枚投入。うち3選手が同点弾を生み出した。13分後、MF家長のスルーパスに抜け出したMF遠野が左クロス。小林が打点の高いヘッドでゴールに突き刺した。鬼木監督から拍手でたたえられる。播戸竜二と並んでいた、途中出場の最多得点記録を28として単独1位に立つと「みんなが運んでくれて決めるだけだった。ゴールになって良かった」と仲間に感謝した。 　2日前、鬼木監督の今季限りでの退任が発表されていた。今季、自身は1点。「もっと自分が決めていれば、違う展開になったのかな…力が入らない感じだった。それくらい自分にとって大きな存在だった」。プロ1年目の10年、鬼木監督がコーチとして入閣。自身の出場機会が少なかった時期に「残り組」の練習に付き合ってもらった。励ましの声掛けを胸に、腐らずここまでやってきた。恩師であり同志。絆は強かった。 　監督と選手の関係に進展しても、物語は続く。鬼木監督1年目、主将を任された。得点王とMVPを獲得する活躍で応え、共闘で初戴冠した。以来8季で国内3大タイトル7度制覇。「シルバーコレクター」と呼ばれていたクラブを、ともに常勝軍団へ引き上げた。 　「絶対に自分が決めないといけないと思っていた」とピッチに立ち、結果を残した。試合後、尊敬する指揮官から「悠はやってくれると思っていた」と言葉をかけられると、感情があふれた。「オニさんとやれる試合をかみしめながら、ゴールなど結果で見せられれば」。原点は控え時代の直接指導。鍛えられた得点力で、恩人に1つでも多く勝利で返礼する。【佐藤成】